VR/ARコーナーが東京ゲームショウに登場してから2019年で3年目。ヴァーチャル・リアリティとは何か? それを技術力とともに誇示する時代が終わり、いかに一般の来場者を楽しませるか? に力点を置いた展示が主流になりつつある。今年は多彩なジャンルの出展物が増え、誰もが楽しめるコーナーに変貌していた。

『狼と香辛料 VR』。アニメーションは「見る」時代から「体験する」時代へと進化するのかもしれない
『狼と香辛料 VR』。アニメーションは「見る」時代から「体験する」時代へと進化するのかもしれない

 今年のVR/ARコーナーは面白い。昨年までは、VR(ヴァーチャル・リアリティ)のテクノロジーを紹介するための展示が多かったが、今年から傾向がガラリと変わった。もっとVRを気軽に楽しんでね! と訴えるかのように、各ブースがさまざまなアプローチで来場者を楽しませる競争を開始している。

 それは出展されているVRコンテンツを見れば一目瞭然だ。昨年までの主流だった密室ホラー系、SF系なども健在だったが、それ以外のジャンルの存在感が一気に上がったのだ。

 その象徴が、アニメの世界にそっくり入り込んでしまうタイプのVRコンテンツ。人気ライトノベルのVRアニメーション化作品『狼と香辛料 VR』は、原作者が書き下ろした完全新作アニメをVRで体験できる完全新作。他にもVRミステリーアドベンチャー『トーキョークロノス』、人気アニメの世界に入り、魔法のホウキに乗って大空を飛び回る『リトルウィッチアカデミア-VRホウキレース-(仮)』などが一気に出展され、「VRを利用して二次元世界の中に入る」という作品が目立つようになった。

『トーキョークロノス』。犯人を探し出し、世界からの脱出を目指す推理アドベンチャーゲーム。
『トーキョークロノス』。犯人を探し出し、世界からの脱出を目指す推理アドベンチャーゲーム。
『リトルウィッチアカデミア-VRホウキレース-(仮)』。原作キャラとともにホウキレースを体験できる。
『リトルウィッチアカデミア-VRホウキレース-(仮)』。原作キャラとともにホウキレースを体験できる。

 二次元世界を堪能するという意味では『VRカレシ』も同様だ。今年の東京ゲームショウには、長年続いてきた女性向けゲームコーナー(ロマンスゲームコーナー)がなくなったが、それらはVR/ARコーナーに吸収され、より臨場感あるVR体験ができるゲームとして女子来場者の注目を集めていた。

 お馬鹿系・お気楽系の出展も多い。VR空間内にいる人と同じ動きをしていくダンスゲーム『やまびこ狂言アフロ』、ダンスで宇宙を救う『スペースチャンネル5 VR あらかた★ダンシングショー』など、楽しくダンスすれば下手でも楽しい! というVRコンテンツも元気だった。

 人気キャラと一緒に記念撮影ができるスポットなども登場した。初音ミクをはじめとする人気キャラと写真が撮れるのだ。インスタ映えする記念撮影スポットは数あれど、架空の空間での記念写真が撮れるスポットは珍しい。来場の際には、ぜひ体験してほしい。

『VRカレシ』。ロマンスゲームコーナーはなくなったが、VR/ARコーナーに女子たちが集まるブースが残っている。
『VRカレシ』。ロマンスゲームコーナーはなくなったが、VR/ARコーナーに女子たちが集まるブースが残っている。
『やまびこ狂言アフロ』。本人は必死にダンスをしているが、周囲から見ると楽しい、というパーティーグッズ系VRゲーム。
『やまびこ狂言アフロ』。本人は必死にダンスをしているが、周囲から見ると楽しい、というパーティーグッズ系VRゲーム。
『スペースチャンネル5 VR あらかた★ダンシングショー』。VR/ARコーナーの条件「スペチャン」は今年も健在。
『スペースチャンネル5 VR あらかた★ダンシングショー』。VR/ARコーナーの条件「スペチャン」は今年も健在。
記念撮影コーナー。グリーンの背景の前でポーズをとり、仮想空間の中で記念撮影ができる。
記念撮影コーナー。グリーンの背景の前でポーズをとり、仮想空間の中で記念撮影ができる。

各種グッズにテクノロジーの進化を実感

 その一方で、VR/ARコーナーならではのテクノロジー面を追求するタイプの展示物もあり、さらなる技術の追求を知ることもできる。とりわけ今年は、新しいデバイス、グッズなどが目立っていた。

 例えば、足に装着する靴型のデバイス(これを使うと、椅子に座ったまま歩く動作をすることで移動が可能)、胴に装着するデバイス(衝撃を体感できる)などが出展されていた。それは近い未来の、視覚と聴覚以外の感覚でVR空間を堪能する時代の到来を予告しているのかもしれない。

 ヴァーチャルなキャラクターとコミュニケーションするタイプの出展もあった。その代表が『Gatebox』。カプセル状の本体の中に生きているキャラクターとの会話が楽しめるハードウエアだ。個人で楽しむにはまだ敷居が高い(ハードウェアの価格が1万50000円)だが、透過スクリーンに投影することで、カプセル内に浮かび上がるキャラクターには一見の価値がある。

 このように、ただヘッドセットを装着してリアルなVR空間を提供するだけでなく、さまざまなアプローチで来場者を楽しませるコンテンツ・グッズが増えてきたことが、今年のVR/ARコーナーの最大の特徴だ。来場の際には、ぜひ足を運んでいただきたい。

足に装着するデバイス。椅子に座ったまま、足を歩くように動かすとVR空間内での移動が可能になる。
足に装着するデバイス。椅子に座ったまま、足を歩くように動かすとVR空間内での移動が可能になる。
ボディスーツも出展されていた。『レディ・プレイヤー1』のような世界の到来は、もう遠くないのかも。
ボディスーツも出展されていた。『レディ・プレイヤー1』のような世界の到来は、もう遠くないのかも。
『Gatebox』。カプセル状の本体の中あるに透過スクリーンにキャラクターが投影され、浮かび上がるように見えるのだ。
『Gatebox』。カプセル状の本体の中あるに透過スクリーンにキャラクターが投影され、浮かび上がるように見えるのだ。
『Gatebox』。アップで撮影してみると、キャラクターが半透明であり背景が透けていることが確認できる。
『Gatebox』。アップで撮影してみると、キャラクターが半透明であり背景が透けていることが確認できる。

(文・写真/野安ゆきお)

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