プロのゲーム開発者になることを夢見る学生たちによって作られた個性豊かなゲームが、今年もゲームスクールコーナーに続々と登場。本稿では、僭越ながら筆者が独断と偏見で選んだオモシロタイトルをご紹介する。
TGSの定番コーナーとなって久しいゲームスクールコーナー。今年も大学・専門学校が合計49校参加し、もはや数え切れないほど多くのゲームやVRコンテンツなどを出展していた。
将来はプロのゲーム開発者として社会で活躍すべく、日々の授業に取り組む学生たちが手掛けた作品は、実に個性あふれるものばかり。以下、数多の学生作品の中から、特に面白かったものをピックアップしてお伝えしよう。
空手体験ゲーム『舞師範 My Shihan』
来年開催される東京オリンピックで初めて正式競技に採用される空手の知名度向上を目的に、東京デザインテクノロジーセンター専門学校が全日本空手道同盟とFunLife社との共同で開発した、その名もAI空手師範トレーニングゲーム。画面に映し出された空手家の型(ポーズ)をプレーヤーが連続で真似することで、1人でも空手の形を練習できるという作品だ。
モーションキャプチャー機能が付いたKinectを使用しているので、コントローラー類を一切持たずにプレー可能。内容は極めてシンプルだが、松濤館流、糸東流、和道流、剛柔流の初段が行う形を収録し、どれだけ型をうまく作れたかをAIが判定するという、決してお遊びなどではない本格的な内容だ。
「てぼ」を振って遊ぶ『湯切りの頂』
毎年、前代未聞の独創的な学生作品を出展する神奈川工科大学ブースには、今年もまた奇抜なアイデアを盛り込んだゲームが登場。ラーメンさんで見かける「てぼ」などと呼ばれる麺を茹でるためのザルをデバイス化し、いかに早く、正確に湯切りができるかを競う、その名も『湯切りの頂(いただき)』だ。
湯切りを上下に素早く振り続け、制限時間内に画面に表示された水分をゼロにすればクリアとなり、途中で湯切りの中からダミーの麺がはみ出ると減点される。いざ遊んでみると、麺をこぼさずに湯切りを完遂するのが意外に難しく、良い意味でのバカバカしさがあって楽しめる。
壮大なるオマージュ!? 『MANESIUS』
日本電子専門学校ブースに出展されていた『MANESIUS(マネシウス)』は、PCのモニターを横に2台並べ、1つの大きな画面にしてプレーする横スクロールシューティングゲーム。宇宙空間を舞台に、敵を倒してパワーカプセルを回収することで、自機のスピードアップやミサイル、レーザーなどの装備を強化することが可能となり、2人同時プレイにも対応しているという、どこかで見たような聞いたような(?)内容だ。
基本ルール、敵キャラクターのグラフィックス、サウンドなど、あるとあらゆる面において昔のゲームセンターで一世を風靡した、古典的なシューティングゲームをほうふつとさせるものだった。だが、ただのパクリではなく、筆者のような80年代からシューティングゲームに興じている人間が、ひと目見たらクスッと笑ってしまうようなオマージュとして許容できるものばかりで、むしろ学生たちが古き良き時代の作品をリスペクトしつつ、かなりの研究を重ねた様子が伺えたのが好印象だった。とりわけ、レーザーを装備した時には、ほぼ2画面分に近い長尺のレーザーを放ち、敵をまとめてなぎ倒せるのがとても気持ち良かった。
(文・写真/鴫原盛之)
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