東京ゲームショウ2019(TGS2019)の会場内で、80年代にゲームセンターで人気を博したドライブゲーム『アウトラン』『チェイスH.Q.』『ファイナルラップ』の貴重な開発資料が見られる、史上初の画期的な展示イベントが実現した。レトロゲームファンは感涙必至の、素晴らしい展示内容をお届けしよう。
バンダイナムコ研究所(東京・江東)と、「ファミスタの父」と呼ばれるゲームクリエイター岸本好弘氏が立ち上げた「遊びと学び研究所」は、TGS2019の会場内の「CEDEC2019インタラクティブセッション特別展示コーナー」にて「セガ/タイトー/ナムコ ビデオゲーム黎明(れいめい)期を切り開いた各社の開発資料展示」と題した出展をしている。
ナムコ(現:バンダイナムコエンターテインメント)の古い開発資料の保存・活用を目的としたプロジェクト「ナムコ開発資料アーカイブプロジェクト」の活動の一環という位置づけだ。
ブース内では、1987年に旧ナムコが発売した『ファイナルラップ』、1986年にセガ・エンタープライゼス(現:セガインタラクティブ)が発売した『アウトラン』、1988年にタイトーが発売した『チェイスH.Q.』の3タイトルの開発資料が展示している。同プロジェクトの活動に、今回初めてセガ、タイトーの2社が賛同したことによって、メーカーの垣根を越えて3タイトル分の開発資料が一挙に公開されるという、実に画期的な企画が実現した。
これらのタイトルは、いずれもかつてゲームセンターで人気を博した、大型きょう体を使用したアーケード用ドライブゲームという共通点がある。それぞれのタイトル、またはメーカーごとの企画・開発の経緯や、製品化に至るまでの発想法などを比較しながら見て学び、楽しめるところに、本展示イベントの意義があると言えるだろう。
出展を担当したのは、バンダイナムコ研究所の兵藤岳史氏と、遊びと学び研究所の岸本好弘氏。兵藤氏は、旧ナムコ時代にアーケード用アクションゲームの『トイポップ』や、ファミコン用アドベンチャーゲームの『さんまの名探偵』などの開発を担当した実績を持つ。岸本氏は、ナムコ在職時に野球ゲーム「ファミスタ」シリーズなどを開発したことで知られる、80年代から活躍するゲーム開発のエキスパートだ。
貴重な開発資料の見学ができて、なおかつ手書きで企画書を書いていた時代のゲーム開発事情を知るレジェンドの2人に直接会える、またとない大チャンスだ。レトロゲームファンは言うにおよばず、ゲーム開発志望者の若者や学生諸君も、ぜひ展示ブースをご覧になってみてはいかがだろうか。
(文・写真/鴫原盛之)
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東京ゲームショウ2019特設サイト
東京ゲームショウ2019公式サイト

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