中国ファーウェイが東京ゲームショウ2019(TGS2019)会場のブースで展示しているのは、自社のスマートフォンではない。日本のアプリ開発者やソフトウエア企業に向けて、自社マーケットの「AppGallery」や、アプリの開発支援をアピールしている。
日本では高画質カメラを備えたコストパフォーマンスの高いスマホで知られるファーウェイだが、TGS2019のブースでは、アプリの開発者や企業に向けた案内をしている。ファーウェイ製スマホに搭載されている独自アプリストア「AppGallery」の紹介や、開発の支援といった内容だ。
こう書くと、ファーウェイが米中貿易摩擦の影響を受けているため、独自のプラットフォーム構築を急いでいるのでは、と考える人もいるかもしれない。だが、ファーウェイがアプリデベロッパーに対してAppGalleryをアピールしているのはここ最近の話ではなく、この問題とは直接的な関係があるわけではない。
日本では米アップルの「iPhone」と「App Store」、米グーグルの「Android」と「Google Play ストア」のシェアが高いので気づきにくいが、サムスンの「Galaxy」にせよ、ファーウェイのスマホにせよ、世界でシェアの高いスマホメーカーはそれぞれ独自のアプリマーケットや課金システムを持っている。
中でもファーウェイ製スマホのAppGalleryは、デベロッパーにとってはグーグルが進出できていない中国市場への進出の足がかりになる。ファーウェイのシェアが高い欧州やアフリカのファーウェイユーザーへの配信もできる。現在は170以上の国で、3.7億以上の月間アクティブユーザーが利用しているとのことだ。
日本のアプリデベロッパーにとっては、ファーウェイと米中摩擦の問題が直接影響しているわけではない。自社ストアを充実させたいファーウェイと、中国や海外進出を考えるアプリ開発者をつなぐ一つの選択肢というわけだ。
(文・写真/島徹)