米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)でグローバル・マーケティング責任者を長年務めた世界的マーケターで、パーパス(企業の存在意義)の提唱者であるジム・ステンゲル氏が2023年1月、講演のために来日した。同氏がパーパスの重要性を説いてから数十年が経った。今のパーパスブランディングはどう変わっているのか、どうマーケティングに生かせばいいのか。単独インタビューで聞いた(聞き手は日経クロストレンド編集長 佐藤央明)。
――ここ数年、日本企業の間でもパーパス(企業の存在意義)がムーブメントになり、会社あるいはブランドのパーパスをつくる企業が増えています。先んじてパーパスが広がった米国では今どういう状況なのでしょうか?
ジム・ステンゲル氏(以下、ステンゲル) 米国におけるパーパスの変遷を見ると、P&Gがリーダー的な役割を果たし、それに追随する形で他の企業もどんどん同じ方向に向かってここ30年、絶えず進化し続けているといえます。そして今は、パーパスをベースとしたブランディングがいい結果につながることを裏付けるデータがますます増えているという状況です。
私は(米コンサルティング大手の)デロイトと強力なパートナーシップを築いており、パーパスブランディングで成功しているトップの企業はどこなのかを一緒に見てきました。その中で挙がってくるのが、皆さん当然だと思われるかもしれませんが、グーグル、アップル、アマゾン、セールスフォースなどです。
「パーパス=社会や環境のために貢献すること」ではない
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