物流系ITスタートアップ、Yper(イーパー、東京・渋谷)が2020年12月、同社の置き配バッグ「OKIPPA」のサブスクリプションサービスを開始した。食材と調理家電が一緒に届く「OKIPPA BOX」も始めて、利用者の拡大を狙っている。宅配便の受け取り主が不在で何度も再配達しなくてはならない、いわゆる再配達問題を解決したいと開発したというOKIPPA。Yperの内山智晴代表取締役に新サービスの狙いなどを聞いた。(聞き手は日経クロストレンド編集長・吾妻拓)
サブスク代を保険と体験で「無料化」
OKIPPAはドアノブなどに専用のバッグを吊り下げておく、アプリ連動型の置き配バッグ。宅配ボックス代わりに使えるいわば「簡易宅配ボックスだ」。宅配業者はOKIPPAを広げて配達物を入れ、ロックすればよい。OKIPPA利用者は、連携するアプリで配送状況や配達完了を知らせる通知を受け取れる。アプリに配送状況が表示されるのはAmazonと楽天、ZOZOTOWN、ユニクロ、ヨドバシ・ドット・コムなどの対応済みECサイトおよび9社の主要配送サービスだ。
従来は利用者がOKIPPAバッグを購入して利用していたが、20年12月からは月額270円で利用できるサブスクリプションサービスも始めた。20年12月までに16万個以上を販売したという「OKIPPA」。サブスクサービスなどの開始で利用者拡大を加速しようとしている。
編集長・吾妻 拓(以下、吾妻) OKIPPAのサービスとして「置き配バッグサブスクOKIPPA」をスタートしました。どういう狙いですか?
内山智晴氏(以下、内山氏) OKIPPAバッグは20年12月までに16万個以上を販売したのですが、国土交通省が発表した19年の宅配便取り扱い個数の43億2349万個(前年度比1647万個・約1.0%の増加)と比べると、十分とは言えません。ましてEC化率は増加の一途ですので再配達率削減のためには、市場拡大が急がれます。そのための付加価値として、無料盗難保険(任意加入の保険は2018年9月から提供済み)やバッグ・付属品無償交換などを付けたサブスクをスタートさせました。
吾妻 サブスクと、これまでの買い切りタイプはどう違うのでしょう。
内山氏 「置き配バッグOKIPPA」は2年間、普及のため、原価に近い3980円で販売していたのですが、21年1月13日に4980円に変更しました。これに対し、20年12月2日にスタートした「置き配バッグサブスクOKIPPA」は月額270円で、初期費用なし、設置工事なし。申し込むとOKIPPAバッグが届き、すぐに利用できるようになります。大きな違いは保険と交換保証です。
保険はもともと2つ用意していていました。1つはOKIPPAアプリを使うことで申し込める「盗難サポート」で、OKIPPAバッグに配達された商品が万が一盗まれた場合、見舞金を受け取れる独自サービスです。OKIPPAバッグに配達された商品の購入金額(商品金額、送料、税金込み)に対して上限5000円まで補償しています。
もう1つが30日100円で加入できる「プレミアムプラン」に付属する「置き配保険」です。預け入れられてから24時間以内の荷物を対象に、盗難があった場合、配送荷物に3万円、バッグ自体に5000円の最大3万5000円の補償が受けられます。
サブスクOKIPPAの場合、月額270円の中に「置き配保険」が付帯します。上限3万円までの盗難補償に加え、消耗品となるバッグ本体や付属品が故障した場合、使っている間はずっと無料で交換できます。買い切りの場合はバッグや付属品の交換は有償です。
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