ピップ(大阪市中央区)の取締役 商品開発事業本部長であり、親会社フジモトHDのCMO(最高マーケティング責任者)でもある久保田達之助氏へのインタビュー。前編(「ピップが仕掛けた学生コラボ 『女子高生向け』細見えソックス」)に続き、後編では久保田氏が進めてきた組織改革の話を聞く。(聞き手は日経クロストレンド編集長・吾妻拓)

前編(第11回)はこちら

 1908年創業のピップは、医療衛生用品などの卸売業とピップエレキバンやSLIMWALKなどの自社開発商品の製造・販売部門があり、久保田氏は後者を統括。同氏は2025年に売り上げを3倍に増やすことを目指して、組織づくりを進める。19年11月からブランドマネジャー制も導入して、事業拡大を目指す。

編集長・吾妻 拓(以下、吾妻) 久保田さんはピップグループで初のCMOということですよね?

久保田達之助氏(以下、久保田氏) 前職は化粧品会社のドクターシーラボなので、がちがちのマーケティング会社です。だからピップグループに足りないものを持っているということだと思うのですけれども、ちょうど社長と副社長が「消費者起点のマーケティングカンパニー」を目指していたことから声が掛かりました。フジモトHDの社長直轄CMOです。

 18年6月の就任から1年間はいろいろ会社の現状を見ながら、PRを強化していました。伝統のある素晴らしい会社なのに企業PRはほとんど手つかずで、ピップとはどういう会社かなどをしっかり伝えないとだめという話をして担当者を採用してもらったのです。そうしたら実績ができてきまして、PRの重要性が会社に浸透し始めています。数年後までに化粧品会社並みのPR部隊にしたいので、広報宣伝部を19年11月に作り、商品のPR宣伝を強化しています。

吾妻 久保田さんがCMOに就任したとき、組織的にはまず何が問題だと思いましたか。

久保田氏 理想とのギャップを強く感じたのは、スピードでした。どんな決裁もとりあえず取締役会に上がる、日本の会社でよくあるパターンではあるのですが、何をするにもとにかく時間がかかる。ベンチャー企業が大企業に成長していく様子を目の前で見ていたので、スピードの差には危機を感じました。

 ですから決裁のスピードを上げるためにマーケティングの4P(Product、Price、Promotion、Place)に関わる決裁権限も全部持たせてもらいました。前職と比べるとそのスピード感が大きく違っていたからです。これまでは例えば製品開発でも金額などに応じて取締役会で決めないといけなかったのですが、私の権限で即決できるようになりました。私の下で4ブランド、200アイテム以上を作っていますが、今なら、現場が考えて作った企画をその日のうちに決裁することだってできます。販売承認を取ってから最終的に商品が売れるまでのリードタイムがかなり短くなりました。品質は絶対第一ですが、こうしたリードタイムをどこまで減らしてお客様に商品を届けられるかはとても重要です。

吾妻 組織も変更し、ブランドマネジャー制を導入したそうですね。

久保田氏 古い会社で組織の壁や決裁権限の不透明さから全体が保守的になってしまうというところがあるなと思いました。もっと売り上げを伸ばすために、まずは組織や人の配置を換えたほうがいいかなと考えたのです。

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