ミシュラン史上最速で三つ星に輝いた「HAJIME」(大阪市西区)のオーナーシェフ・米田肇氏のインタビュー第2回。ロボットやAI(人工知能)といったテクノロジーは料理界を変えるのか否か。引き続き米田氏の話を聞いた。(聞き手は日経クロストレンド編集長、吾妻 拓)
(インタビュー第1回「世界最速三つ星シェフが語る イノベーションに必要な『非常識力』」はこちら)
編集長・吾妻 拓(以下、吾妻) 米田さんは厨房で必要な情報を可能な限り数値化しているということですが、データベース化が進んだ先には、料理人の感覚や勘もテクノロジーで置き換えられる時代が来ると思いますか。
米田 肇(よねだ はじめ)氏(以下、米田氏) ほぼ置き換え可能だと思います。実は、レストランの厨房では機械よりも人間のほうがミスを犯す確率は高いはずです。体調が悪かったり、機嫌が悪かったりといったことがイージーミスにつながる。だから、私は毎日の挨拶のときに必ずスタッフの様子をチェックしています。
ところが、AIを搭載したアンドロイドに任せておけば、電池切れにならない限り、人間と同じことをしてくれるわけです。しかも人間は、自分の失敗を肯定するための言い訳をする。例えば、いつもの業者から仕入れたニンジンの状態が良くなかった場合、業者が休みの日なら、諦めてそのまま使ってしまうのが人間です。しかし、ロボットはニンジンを入荷した際に瞬時に糖度を測って返品するか、私にメールで連絡するはず。加えて、ロボットなら労働問題が減りますし、夜通しで掃除もしてくれるでしょう。ホコリがない清潔な状態をずっと保つことができます。AIの時代が到来すれば、人間は今の仕事以外で何ができるのかを考えないといけなくなるはずです。
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