Instagramの責任者に聞くインタビューの後編。日本での取り組みについて聞いた前編に続き、プロモーション&マーケティングのツールとしてのInstagramの効果について、責任者のアダム・モッセーリ氏に話してもらった。(聞き手は日経クロストレンド編集長・吾妻拓)
Instagramは、急伸するユーザー数をベースとしたビジネス面での拡大も注目されている。ビジネスの今後と、日本市場に向けた取り組みを掘り下げていこう。まずは、2019年11月から東京都と共同で始めた観光促進キャンペーン「#MY TOKYO IS _____(マイ トーキョー イズ)」についてだ。
日本市場に注力する理由、その特徴とは
編集長・吾妻 拓(以下、吾妻) 今回のキャンペーンのように、地方自治体と共同でキャンペーンを展開する狙いはどこにあるのでしょう?
アダム・モッセーリ氏(以下、モッセーリ氏) 自治体とのコラボレーションはInstagramとしても初めての試みですが、このキャンペーンを通じて経済的な価値を日本に提供できると思っています。Instagramでは大切な人・物、興味・関心との両面でつながっている。日本を知らない人も、大切な人や物、自身が興味・関心を持っている事を通じて日本の魅力を知れば、「東京に行きたい」と思ってもらえるのではないでしょうか。(関連記事「五輪前に認知度向上 東京都がインスタグラムと共同キャンペーン」)
吾妻 東京に開設したプロダクトチームでは、現在どのような活動をしているのでしょうか。
モッセーリ氏 米国以外では初となるプロダクトチームを東京に開設したのはインスタグラムの長期的な取り組みの1つで、注力していることは2つあります。1つは検索機能をはじめとした、日本市場に向けたInstagramの改善。もう1つは長期的視野に立ったリサーチや研究などで、それら2つを進めればもっとインパクトのある製品が作れると考えています。
吾妻 日本のInstagram利用者が海外と大きく異なっているのは、どのような点だと感じていますか?
モッセーリ氏 具体的には3つあります。1つは日本のユーザーはストーリーズ機能を格段に多く利用していること。もう1つはInstagramを検索に利用する人がとても多いこと。サーチ機能はまだ改善の余地が多いにもかかわらず、非常に多く使われていることに驚きました。
そして3つ目は、2、3人の少人数でフォローし合うために複数のマイクロアカウントを多く使っていることです。若い人が複数のアカウントを作るのは世界的に見られるものではありますが、日本でなぜこれだけ多くのアカウントを作る人がいるのか、理由はまだ分かっていません。
吾妻 若い人は自己承認要求が強いと聞いたことがあります。
モッセーリ氏 自己表現に適した環境さえ整っていれば、自分を前面に出す傾向が日本人にはあるように感じています。Instagramの場合、例えば誰と投稿をシェアするかを管理できる非公開アカウントの存在や、実名制ではないといった点が、安心して自己表現できるとして受け入れられた要因になっているのでしょう。
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