国内に3300万人を超えるユーザーを擁する写真共有型SNS「Instagram」が、日本国内での取り組みを強化している。2019年11月には東京都と共同のキャンペーンも開始した。Instagramの日本での活動について責任者のアダム・モッセーリ氏に聞いた。(聞き手は日経クロストレンド編集長・吾妻拓)

責任者アダム・モッセーリ氏が、若者を引き付けるInstagramの魅力を語る
責任者アダム・モッセーリ氏が、若者を引き付けるInstagramの魅力を語る

 2018年10月、共同創業者に代わってInstagramの責任者に就任したのがアダム・モッセーリ氏だ。デザイナーとしてキャリアをスタートさせて08年にFacebook社に入社。現在までに、モバイルアプリのプロダクトマネジメントやニュースフィードの責任者などを経験している。

 19年3月には東京にプロダクトチームを開設すると発表。11月には東京都と共同で、Instagramを活用した東京の観光促進キャンペーン「#MY TOKYO IS _____(マイ トーキョー イズ)」を開始している。来日したモッセーリ氏に、Instagramの現状と事業拡大に向けた今後の取り組みについて聞いた。

2つのミッションを大切にすることが事業拡大につながる

編集長・吾妻 拓(以下、吾妻) 責任者になってからの取り組みについて教えてください。

アダム・モッセーリ氏(以下、モッセーリ氏) 大きな製品発表があったわけではありませんが、19年は20年に向けた長期的な試行の時間だったと思っています。なかでも注力したのが、Instagramを安心・安全なプラットフォームにすること。若い利用者が多いので、いじめ対策などに注力しました。Instagramは自己表現の場です。何かに気を遣うことなく利用者が自分を表現できるプラットフォームを目指しています。
 その実現のために「なぜ人々がInstagramを使うのか」という原点に返って考えました。その結果、Instagramの「親しい人・大切な人同士をつなげる」「興味・関心をつなげる」という2つのコア要素を大切にすると、よりInstagramを使ってもらえることが見えてきたのです。

吾妻 大切にするとは、具体的にどういうことですか?

モッセーリ氏 まず、「親しい人・大切な人同士をつなげる」という部分では、メッセージングアプリの「Threads」をリリースしたほか、「ストーリーズ」に限定配信の機能を追加しました。また「興味・関心をつなげる」部分に関しては、動画配信・共有サービスの「IGTV」や、投稿からEC(電子商取引)サイトにワンタップで移動できる「ショッピング機能」を提供。興味・関心に関連のある投稿を検索する「発見タブ」の機能もより使いやすくなるよう工夫しています。

吾妻 事業を拡大する上では、どんな指標を大事にしているのですか?

モッセーリ氏 「大切な人や大好きなことと、あなたと近づける」というインスタグラムのミッションに注力することが一番です。例えばどれくらいコンテンツがシェアされ、どれくらいメッセージがやり取りされていて、滞在時間がどれくらいで……といった数字が伸びると、結果的に収益や広告の数などが増える。根幹にあるのは利用者に使ってもらうことで、そこからビジネスの機会が生まれてくると思っています。

2018年10月にInstagramの責任者に就任したモッセーリ氏
2018年10月にInstagramの責任者に就任したモッセーリ氏

吾妻 「いいね!」の数を非表示にするテストが話題となりました。実際に表示を消してみて利用者の反応はどうでしたか?

モッセーリ氏 若い人は「いいね!」の数をすごく気にするため、それがプレッシャーになっていました。数にとらわれることなく、もっと友達と好きなことにフォーカスしてほしいという考えから、「いいね!」の数を外部からは見えないようにしたのです。Instagramで何がなされているかだけでなく、利用者がどういう気持ちで行動しているかも大事なのです。
 とはいえ、自分の投稿に対する「いいね!」の数は見ることができるので、どの写真や動画が評価されているか、自分で把握することはできます。この取り組みはまだテスト段階ですが、世界中で好感触を得ています。

自分の投稿(左)への「いいね!」の数は表示されるが、他のユーザーの投稿では表示されない
自分の投稿(左)への「いいね!」の数は表示されるが、他のユーザーの投稿では表示されない
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