渋谷ヒカリエのレストランフロアや東京會舘新本舘などのブランディングを手がけた柴田陽子氏。同氏を支えているのは自身が率いる女性チーム「シバジム」だ。東京ビッグサイトで10月9~11日に開催した「日経クロストレンド EXPO 2019」で一歩先のトレンドを生み出す秘訣とコミュニケーションの極意について語った。

柴田陽子事務所 代表取締役 柴田陽子氏。コーポレートブランディング・店舗プロデュース・商品開発など多岐にわたるコンサルティング業務を請け負う。2015年ミラノ国際博覧会における日本館レストランプロデューサーを務める他、セブン&アイ・ホールディングス「グランツリー武蔵小杉」、東京急行電鉄「ログロード代官山」プロデュースなど、幅広くブランディングに携わる
柴田陽子事務所 代表取締役 柴田陽子氏。コーポレートブランディング・店舗プロデュース・商品開発など多岐にわたるコンサルティング業務を請け負う。2015年ミラノ国際博覧会における日本館レストランプロデューサーを務める他、セブン&アイ・ホールディングス「グランツリー武蔵小杉」、東京急行電鉄「ログロード代官山」プロデュースなど、幅広くブランディングに携わる

1分間に「20個の気づき」で時代を先読み

 「なぜプロジェクトが成功するのか」とよく聞かれますが、少し先の時代を読むのが得意だからだと思っています。

 先読みが得意になったきっかけは、あるランチタイムの出来事でした。20歳くらいのときに、友人たちと三宿のイタリアンレストランにランチに行きました。店にはあまり客がいなくて、友人たちは「すいてるね」と言って入っていきました。でも、それを聞いて私は雷が落ちたような衝撃を受けました。すいている店を見た瞬間、私は「なんですいているんだろう」「どうしたらお客さんが入るんだろう」「ここに看板を置けばどうかな」「看板の費用はいくらかな」など、20個近い事柄が思い浮かんだんです。すいているという事象に対して友人たちが1つの事柄しか思い浮かばない間に、私は20個も気づけた。

 がんばれば、1分間に20個の気づきを見つけられる。これを1年間繰り返したらどうなるでしょう。「この人はそんなに美人じゃない」「でももてるな」「笑顔って大事なんだな」……。こんなふうに、全ての事柄に気づきはあります。私は何年もそうした気づきの機会を持つようにしていますし、社員にも自分の子どもたちにも伝えています。

 部下には外に出ることも大切だと話しています。社内にこもって書類ばかり作るのではなく、外に出てみる。友だちと食事に行くのもいいですね。私は海外に行ったとき、街を歩いているすてきな人を探すのが好きなんです。こんなすてきな人になるためにはどんな両親にどんなふうに育てられたのか? どんな食事をして、どんな生活をするのか?

 企画書をつくるとき、ただペルソナを作ったり、データでアベレージを出したりするのではなく、自分が執着したい人をうんと掘り下げる。ユーザー目線とはそういうことではないかと思います。

LINEは1日100通以上

 私にとって、部下は家族。私の事務所を選んでくれた人のためにどんなことができるかを日々考えています。

 プロジェクトを手がけるときいつも頭にあるのは、「成功したらみんなのおかげ、失敗したら私のせい」。自分のためだけに仕事をすることはほとんどありません。クライアントのためであることはもちろん、部下の手柄をつくりたい。部下が独り立ちして、高い給料をもらえるようにしてあげたいんです。クライアントには「女石原軍団みたい」とよく言われますが、そうした思いが私の求心力になっているのでしょう。

 また、部下の居心地が良くなるような環境づくりを常に心がけています。LINEは1日100通以上。「ああ、この子に最近話しかけていないな」と気づいたらLINEを送る。会議での発言をほめるメッセージを部下に送ったり、会議中に不満そうな顔をしていた子を朝ごはんに誘ったりもします。ほめる文化を大事にしたいんです。時々、「なんでこんなことまでやっているんだろう」とも思いますが、密なコミュニケーションのおかげで社員が辞めないのかもしれません。

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