良いチームに要求されるのは「学習する」こと

 それでは、良いチームにはどのような活動が要求されるのでしょうか。それは「学習する」という活動です。

 チームや組織を取り巻く状況がこれまでにない速度で変わりつつあり、昨日までの成功法則が今日からは通用しない。そんな時代にあって、これまで多くのオペレーショナルな組織で実行されてきた「組織や上司が正解を知っている」「言われたことを速くミスなくこなすのがチームの仕事」という時代は終わりを迎えつつあります。

 だから、仮説を立てて実験し、現実に起きた結果から学ぶ、という活動。つまり「学習する」という活動がこれからのチームには求められるようになりました。これは、イノベーションや新規事業に携わるチームだけではありません。日々のオペレーションを着実に実行することが重要視される組織・チームであったとしても、ますます速い周期でオペレーションを修正・変更し、改善するようになっています。そのような変革のときに「学習できない」チームはやはり、成果の出るチームとは言えないのです。

チームの学習を推進する「心理的安全性」

 では、チームの学習はどうしたら促進するのでしょうか。そのベースとなるのが「心理的安全性」なのです。この分野の第一人者であるEdmondson教授は、心理的安全性を「このチームの中でならリスクをとっても大丈夫だという信念がメンバーによって共有されていること」と定義しました。

 ここでいう「リスク」は対人関係のリスクのことで、「無知、無能、ネガティブ、邪魔だと思われる不安」という4つの不安からくるものです。Edmondson教授はこの4つの不安がなく、心理的安全性があるとき、次のような感覚をチームメンバーは得るとしています。

・厳しいフィードバックを与えたり、真実を避けずに話し合いをしたりできる
・ミスをしても罰せられたり評価を下げられたりすることはないと思える
・手助けを求めても不快に思われたり恥をかかされたりすることはないと思える
・はっきり意見を言っても拒否されたり罰せられたりすることはない確信がある

 つまり、心理的安全なチームのほうが必要なときに助けを求められたり、不都合な真実があったとしてもそれを隠さず問題について建設的に話し合ったり、多様な意見を集めたりすることができ、チームが「学ぶ」ことができる。そして、学んだチームのほうが、そうではないチームよりも中長期的にパフォーマンスが高いと結論づけています。

 私たちも日本の組織の心理的安全性を計測しており、下の図のように、日本の組織でも心理的安全性が学習とチームのパフォーマンス向上に有効であることをデータから確認しています。

<後編に続く>

石井遼介氏が10月9日、日経クロストレンドEXPO 2019に登壇!
石井遼介氏の講演は公式サイトからお早めにお申し込みください(事前登録無料)。元上場企業社長の島津清彦氏と共にご登壇いただき、心理的安全性についてより深くお伝えいただく予定です。

【日経クロストレンドEXPO 2019開催概要】
日時:2019年10月9日(水)~11日(金) 午前10時~午後5時30分(開場 午前9時30分)
会場:東京ビッグサイト 西ホール
入場料:登録無料(事前登録で3000円の入場料が無料になります)
お申し込みは公式サイトから