入賞した各選手、事前の予想は?

 大会後に入賞した4選手へのインタビューでは、各自が事前に予想していた優勝者と、自分の予想順位を質問してみた。

■優勝:「本名は吉田」ヨダソウマ選手
 謙遜抜きで優勝できるとは思っていなかったのですけど、いざ優勝してみるとすごくうれしいですね。たぶん、数週間くらい調子に乗ると思います。優勝するのは、レイン選手、delta選手、マッキー選手、それにぴぽにあ選手の誰かだと思っていました。自分は1回戦だけは突破しようという意気込みでした。

■準優勝:「ぷよぷよ降れ降れもっと降れ」レイン選手
 出場者のなかで自分がプロとしていちばんの新人で、勝てないだろうと最初は思っていたのですが、やってみたら意外と勝って調子に乗れました。最後は負けてしまいましたけど、自分にとってはいい経験になりました。自分はぴぽにあ選手が優勝すると思っていました。最近、すごく調子がいいことを知っていたので、その調子のまま来られたら厳しいと思っていたのですが、なんとか勝ててよかったです。ベスト4に入るのが目標でしたが、準優勝できてよかったです。

■同率3位:「巨人の火力」delta選手
 最近、新しい戦い方を試してまして、前回の公式大会よりもいい成績を残せて、個人的には悔いのない大会になったと思います。次はいい成績を残して優勝まで行きたいと思っています。自分は正直、優勝するのは自分だと思っていましたね。それぐらいの気持ちで行かないと勝てないので。新しいことに挑戦してそれが未完成だったのが敗因ですね。それが完成すれば優勝もできると思っています。

■同率3位:「寡黙な最強戦士」マッキー選手
 誰よりも『ぷよぷよeスポーツ』を練習してきた自信はあったんですけど、大会となると最後はちょっとだけ逃げに走ってしまって、それが敗因かと思います。次回からは勝負強さも鍛え上げていきたいと思います。優勝するのは自分だと思っていました。ただ、安定を求めて最後の一歩を安定したほうを選んだ結果、そのまま負けてしまったので、すごく悔しいです。

優勝者のヨダソウマ選手には200万円、準優勝のレイン選手には50万円、同率3位のdelta選手とマッキー選手には10万円の賞金が授与された
優勝者のヨダソウマ選手には200万円、準優勝のレイン選手には50万円、同率3位のdelta選手とマッキー選手には10万円の賞金が授与された
時間が経つごとに優勝の実感が沸き、表情が緩んでいったヨダソウマ選手。掲げているトロフィーには歴代の大会優勝者の名前が刻み込まれている
時間が経つごとに優勝の実感が沸き、表情が緩んでいったヨダソウマ選手。掲げているトロフィーには歴代の大会優勝者の名前が刻み込まれている

プロの業に興奮するその一方で考えたこと

 『ぷよぷよ』の歴史は古い。遡れば1991年10月に8ビットパソコンのMSX2、ファミコンのディスクシステムの2機種で広島のデベロッパー、コンパイルが発売したのがはじまりだ。しかし当初はまったく話題にならず、人気が出たのは92年発売のアーケード版、メガドライブ版から。当初から対戦のおもしろさが話題を呼び、大ヒットとなるが、コンパイルは経営破綻。セガに商標が移り、現在に至る。

 『ぷよぷよ』では画面上部から降ってくる「ぷよ」を積み重ね、同色のぷよ4個以上を連結させることで消していくアクションパズルだ。ぷよが消えることで上に積み重なったぷよが下に移動、そこでまた同色4個が連結されると「連鎖」が起こる。対戦では消したぷよの数に応じて、相手側のフィールドに無色の「おじゃまぷよ」が降り注ぐ。連鎖が重なることで相手に降るおじゃまぷよはどんどん増えていくため、対戦で勝利するためには、あらかじめ連鎖が起こるように積み重ねていくことが必須となる。

 この長い年月のあいだに連鎖を狙う積み方も研究が進み、階段、挟み込み、折り返し、GTR、さらにそのGTRの派生形と、どんどん複雑化してきている。eスポーツの試合においてプロ選手たちはほとんど考える間もなくぷよを積み上げていく。無造作にしか見えないその積み方に、実はきちんと「連鎖」への布石が打たれている。

 積み方だけではない。大連鎖を組むには時間がかかる。そこで、中規模の連鎖を組んで先に発動させ、相手の連鎖を阻止するなど、相手の積み方を見て、臨機応変に戦術を切り替えることが勝利には必要となるのだ。

 こうした試合での駆け引きは『ぷよぷよeスポーツ』を見る上での醍醐味ではあるのだが、その一方で、初心者には非常にわかりづらいものとなってしまっている。連鎖が発動してしまえばその爽快感は誰にもわかるのだが、そこに至るまでがとても難解なのだ。

 東京ゲームショウで行われる『ぷよぷよeスポーツ』の大会では、その試合の解説を、プロ選手が交代で行っていく。各選手が何を狙ってぷよを積んでいるのかといった戦術面に加え、ときにはプライベートでのエピソードが語られることもある。常日頃、ライバルとして研究している人たちの対戦を解説するその手腕は、みんな見事だ。

 ただ、その解説が前述のわかりづらさを完全に払拭しているかというと、疑問は残る。観客が見ているスクリーン上のゲーム画面に解説者が書き込みを行い、リアルタイムで、あるいは試合後の振り返りでその戦術を解説するといった、もう一歩踏み込んだ工夫があってもいいように思う。

 『ぷよぷよ』がゲームとして、また、eスポーツの競技種目として非常に優れたコンテンツであることは間違いない。しかし、歴史のあるコンテンツはそれが足かせになり、新たなファンを獲得しづらいという難点を持つ。海外への広がりを見せた今大会ではあるが、だからこそ、さらにファン層を広く厚くしていく何かが欲しい。そんなことを感じさせられた。

今大会では解説を飛車ちゅう選手とともに、写真中央のTom選手が務めた。左はMCの椿彩奈さん、右は『ぷよぷよ』スペシャルサポーターのゲスト、橘ゆりかさん
今大会では解説を飛車ちゅう選手とともに、写真中央のTom選手が務めた。左はMCの椿彩奈さん、右は『ぷよぷよ』スペシャルサポーターのゲスト、橘ゆりかさん

(文/稲垣宗彦=スタジオベントスタッフ、写真/志田彩香、写真提供=セガゲームス)

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