東京ゲームショウのeスポーツ専用ステージ「e-Sports X BlueStage」のトリを飾るのは『ストリートファイターVアーケードエディション』の大会「CAPCOM Pro Tour 2019 アジアプレミア」だ。誰でも参加できるオープン大会で、前日の9月14日から予選を行っており、その参加人数は1000人を超える。優勝賞金も500万円とプロツアーの中でもトップクラスの高さだ。
「CAPCOM Pro Tour 2019 アジアプレミア」は、カプコンが年間を通じて開催しているプロツアーの中の一戦で、プロツアーの中でも獲得ポイントが高いプレミア大会となっている。
約1000人の出場者から、ファイナルに出場できたのはわずか8人。トーナメントはダブルエリミネーション方式を採用しており、2回負けたら敗退となるシステムだ。1度も負けていないウィナーズサイドに4人、1度負けているルーザーズサイドに4人が入った。
ウィナーズサイドは、マゴ選手、ももち選手、AngryBird選手、Big Bird選手、ルーザーズサイドは、ガチくん選手、Shuto選手、Phenom選手、ときど選手。注目は21歳で、今回初のファイナリストになったShuto選手とベテランのマゴ選手だ。
ウィナーズ1回戦1試合目はマゴ選手対Big Bird選手。なぜか9月に強くなるマゴ選手はそのジンクスを遺憾なく発揮した。1セット目はマゴ選手のかりんが、怒涛の攻めを見せ、一気に倒す。徐々に対応してくるBig Bird選手が粘りをみせ、セットカウント2対2まで持ち込む。しかし、ファイナルセットをマゴ選手が獲得し、Big Bird選手を退けた。
ウィナーズ1回戦2試合目は、ももち選手対AngryBird選手。ももち選手は、是空やケンなど、複数キャラクターを使用できる中、コーリンを選び、AngryBird選手の是空に対峙する。セット1はAngryBird選手が放つ2度の無敵技をももち選手が読み切り、ガード後のカウンターから大ダメージを奪い、勝利。
セット2では、体力残りわずかなももち選手のコーリンに対して、削り倒しをするためにクリティカルアーツ(CA)を出すAngryBird選手。しかし、それを無敵のEX技で避けきり、カウンターを決めたももち選手。昨年のOIL KING対ときど戦を彷彿させるCA削り回避を見せた。最後は当身技で倒し切る。ここぞの場面で、すべて読み切るももち選手の実力がいかんなく発揮された。
ルーザーズ1試合目は、Shuto選手対ときど選手の一戦。Shuto選手が使うユリアンは、体力が減る終盤にしか使えないエイジスリフレクターが特徴のキャラクター。セット1は、Shuto選手がその特性を生かし、エイジスリフレクターを使用した逆転劇から一気に倒し切る。セット2は豪鬼の無敵技、EX豪昇龍拳をここぞの場面でときど選手が発動し、取り返す。その後は豪鬼が空中から飛び道具の斬空波動拳を放つが、Shuto選手はその下をうまく潜り込み対応。3勝1敗でShutoが勝利した。
ルーザーズ2試合目はPhenom選手対ガチくん選手。ガチくん選手のラシードが終始試合を作り優位に運んでいく。Phenom選手のかりんの爆発力に大ダメージを受けることもあるが、結果的には3連勝で完封した。
ルーザーズ2回戦の1試合目はAngryBird選手とShuto選手の対決。試合展開はAngryBird選手の是空が押し、Shuto選手のエイジスリフレクターの発動で逆転する展開。しかし、最後は投げ抜けからのエイジスリフレクターを読まれ、最大ダメージの技、CAを叩き込まえれてShuto選手の快進撃もここで終わった。
ルーザーズ2回戦2試合目はBig Bird選手対ガチくん選手。どちらもラシードをメインキャラクターとしているので、ミラーマッチとなると大方が予想。しかも、どちらもRed Bullアスリート同士と、いろんな意味でミラーマッチになるかと思いきや、Big Bird選手が選んだのはバーディ。思った以上の強さを見せたバーディに、ガチくんが窮地に追い込まれる場面も。1度、キャラ選択画面でクールダウンしたガチくん選手が落ち着きを取り戻し、フルラウンドフルセットのすえ、最後はガチくんのCAが決まり勝負が決まった。
ウィナーズファイナルは、マゴ選手対ももち選手。淡々とした試合運びと絶妙な間合いで、揺るがない強さを見せたももち選手が、マゴ選手を打ち破る。
ルーザーズセミファイナルはガチくん選手対AngryBird選手。どちらも攻撃的な戦いで、かなり体力リードをしていてもEXゲージを惜しみなく使い、倒し切る展開。2勝2敗から逆転でAngryBird選手が勝利。
ルーザーズファイナルは、ルーザーズから勝ち上がったAngryBird選手とウィナーズファイナルで敗北したマゴ選手。勢いにのるAngryBirdは、2連勝とマゴ選手を追い込む。そこからマゴ選手が魂の反撃で1勝を取り返す。マゴ選手はそのまま連勝し、最終戦に。そこから怒涛の攻撃は止まらず3連勝でマゴ選手が勝利。どちらもアグレッシブでフルセットながら試合時間は短かった。
グランドファイナルは、ウィナーズファイナルと同じ、マゴ選手対ももち選手。ももち選手は、無敗のため、1度セットを取られても、再試合となる。かりんの良さを取り戻すために前に出る積極的な戦いを仕掛けるマゴ選手。その甲斐があり1セット目は見事勝利する。しかし、対応力に優れるももち選手がじわじわと引き離し、ルーザーズに落ちることなく優勝した。
表彰式では、優勝盾や副賞の受賞はあったものの、優勝賞金のパネルの受賞はなかったのが気になるところだった。ももち選手はJeSUのプロライセンスの在り方に疑問を持ったことにより、プロライセンスを取得していない。大会規約にはプロライセンスを保持していない選手はすべての賞金が10万円となると書いており、その規約に則って、賞金500万円の授受は行われなかった。もちろん、ももち選手がライセンスを受け取れば、賞金も満額得られるのだが、ももち選手は今回も辞退したと思われる。
一見、お互いに納得のうえでの判断と思われるが、東京ゲームショウの初日にJeSUの発表会にて、賞金の受け取りに関してプロライセンスの有無は関係ないと発表したばかりだった。翌日のももち選手の配信で、この件についてJeSUとカプコンとももち選手で話合いがもたれるとのことだったので、誰もがすっきりする形での決着を期待したい。
(文/岡安学、写真/木村輝)
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