すご腕プレイヤーが頂点を目指すだけがeスポーツではない。東京ゲームショウ2019(TGS2019)で多くeスポーツの大会が行われる中、「ファミリーゲームパーク」では、子供たちによる大会が行われた。保護者の声援を受けながら、笑顔とともにゲームを競い合う子供たちの姿が印象的だった。
中学生までの子供たちとその保護者だけが入場できる「ファミリーゲームパーク」では、キッズ向けeスポーツ大会「U-15 eスポーツチャレンジ」が開催された。『ぷよぷよeスポーツ』『実況パワフルプロ野球』『釣りスピリッツ』の3タイトルによる、子供たちが参加する笑顔あふれるeスポーツ大会だ。
この大会の特徴の1つは、高額賞金が掛かった世界的な有名タイトルではなく、子供でも楽しめるタイトルが主流であること。たとえば『釣りスピリッツ Nintendo Switchバージョン』はTGS2019のメイン会場内には出展されておらず、子供たちのために「ファミリーゲームパーク」にのみ出展され、eスポーツ大会の種目として選ばれている。
小さな子供の参加者が多いためか、操作がおぼつかない子供のすぐ背後で「ほら、そこで(リール)を巻き上げて」と熱心にアドバイスを送る保護者の姿も多く見られた。子供たちは全身で跳ねるようにしてゲームに夢中になり、それを熱心に写真や動画に収めようとする保護者もいて、あたかも運動会のような雰囲気の大会になった。
とはいえ大会の規模、そしてルールは本格的だ。参加者は総勢100人以上。釣り上げた魚の重量によって勝敗が決まる。1次予選・2次予選を勝ち上がった8人は、ステージに上がってインタビューを受け、その晴れ舞台で準決勝・決勝を戦うことになる。これは見知らぬライバルとゲームで競い合うというeスポーツの楽しさを子供たちに伝え、その醍醐味を体験してもらうための大会なのである。
キッズ層では女の子もeスポーツに夢中
eスポーツが注目を集めたTGS2019だが、会場に子供たちの姿は少なく、まだまだ大人のためのイベントとしての色合いが強い。この現象は日本のeスポーツが、まだ普及途上だからと言える。海外では小さな子供たちが「将来の夢はプロゲーマー」と語ることも珍しくないのと比べると、改善すべき点だろう。
しかし「U-15 eスポーツチャレンジ」の熱気を見ると、近い将来、子供たちにもeスポーツの楽しさが広がっていくことは間違いなさそうだ。準決勝に進出した8人中、女の子が3人残っていたことも重要なポイント。子供たちの世代では、男女を問わずゲームで競い合う大会に参加することが当たり前になっている。
この子供たちが本格的なeスポーツ大会に参加するようになれば、女子ゲーマーがステージ上で無類の強さを見せるようになったり、老若男女が観客席にどっと押し寄せたりする日が来るのかもしれない。「U-15 eスポーツチャレンジ」はそんな光景を期待させるような大会だった。
(文・写真/野安ゆきお)
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