東京ゲームショウ2019(TGS2019)のe-Sports X(イースポーツクロス)RED STAGEでは、世界大会への出場権を懸けて、世界で大人気のMOBA(マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ)ゲーム『伝説対決 -Arena of Valor-』の大会が開催された。
東京ゲームショウ2019最終日、eSports Xで『伝説対決 -Arena of Valor-』のゲーム大会「AIC2019日本代表決定戦」が開催された。『伝説対決 -Arena of Valor-』は中国のテンセントゲームズがiOSとAndroid、Nintendo Switch向けに展開しているMOBAゲーム。5対5で対戦し、敵陣にある「コア」を倒したチームの勝ちとなる。基本プレイは無料だ。『伝説対決 -Arena of Valor-』は中国で社会現象になるほどの人気で、ユーザー数は世界2億人を超えてるという。
MOBAはRTS(リアルタイムストラテジー)から派生したゲームジャンルで、複数のプレイヤーが2つのチームに分かれ、敵の本拠地をいち早く制覇して勝敗を競う。敵を倒すアクションゲームの要素や、お金やアイテムなどを集めるロールプレイングゲームのような要素を盛り込み、なおかつ他のプレイヤーとの連携といった戦略面も重要となる。
予選を勝ち進んだ2チームの戦い
AIC2019日本代表決定戦は、2019年秋に開催される国際大会「Arena of Valor International Championship(AIC)2019」の出場権を懸けた戦いだ。オンライン予選を勝ち抜いた「USG」と「SCARZ Ace」の2チームによって争われた。
対戦方式はBO5(5戦3試合先取、BOは「Best of」の略)形式。試合は「グローバルバンピック」を採用するという。グローバルバンピックとは、同じマッチ中、チームとして同じヒーロー(キャラクター)は1度しか使えないというルール。その選択が勝敗のカギを握る。対戦ごとに相手側に使用されたくないヒーローを指定でき、その駆け引きもポイントとなる。そのため試合開始前のヒーロー選択は、どの試合も約8~10分もかかっていた。
各チームに専属コーチが付くのも面白い。キャラクター選択時には後方からメモを見つつ選手に指示したり、これから戦いに挑む選手の肩をたたいて激励したりしていた。
3人体制で試合を伝える
AIC2019日本代表決定戦はスマホ版『伝説対決 -Arena of Valor-』での戦いとなった。各選手はスマホを持ちながら集中し、対戦中は微動だにしないため、競技中の光景はかなり地味だ。しかし解説と実況が画面を見つつ場内を盛り上げるため、見どころが分かりやすい。チームにも担当の解説者がいて、実況と解説の3人体制でゲームを追う。
5人対5人の対戦でフィールドはとても広く、1画面には収まらない。フィールド上の至る所で戦闘が起きているが、実況が画面を切り替えて注目すべき場面を映しているため、試合状況をつかみやすい。
ゲームは常に5対5の対戦で、単独で攻めると集団にやられてしまう。逆に集団で攻めるとコアの守りが薄くなる。1人がやられると人数的に戦いが不利となり、状況によっては逃げるのも戦略となる。そうしたチーム同士の駆け引きが面白い。2対2で戦っていたところにボイスチャットで援軍を呼ぶなど、チーム連携は重要だ。ボイスチャットがカギを握るためか、試合前は入念にヘッドセットをチェックしていた。1試合にかかる時間は、ヒーロー選択に8~10分、対戦が15~30分程度だ。
USGチームが出場権を獲得
試合は1試合目と2試合目をUSGチームが勝ち、あっさりと王手をかけた。2試合目と3試合目の間、USGチームがステージ裏に戻り、作戦会議をする光景も見られた。3試合目にSCARZ Aceが1本を取ると、4試合目は最初に相手を全滅させSCARZ Aceが圧倒的に攻め込み、2対2の同点に持ち込んだ。5試合目は時間制限によって途中で打ち切られ、1~5試合のキル数が多かったUSGチームの勝利となり、世界大会への出場権を得た。
表彰式ではUSGチームを代表してMai選手が「率直に言うとまだ僕たちの中では戦っている。接戦で楽しい試合だった。優勝してほっとしてます。ありがとうございます」と述べた。途中苦戦したが「残り1本取れば勝てる状況で、たった1回の集団戦に負けてしまい、絶望を感じてしまった」と話す。「6月の世界大会では高い壁を経験し、結果は1回も勝てなかったので実力を見せたい。日本代表になれたことはうれしい」と世界大会への抱負を語った。
(文/田代祥吾、写真/木村 輝)