『Dota2』は心理戦だった

 『Dota2』観戦を楽しむためにはどうしたらいいのか。今大会で見事優勝し、日本代表となったTeam May(チーム・メイ)の選手に聞いてみた。

決勝戦のステージに上がるTeam Mayの選手たち。実況のMara氏から「一人2万時間くらいやり込んでいるはず。東京大学に合格するのに必要な時間が3000時間という説があるので、メンバーは6回東大に合格できるエリート揃い」と紹介された
決勝戦のステージに上がるTeam Mayの選手たち。実況のMara氏から「一人2万時間くらいやり込んでいるはず。東京大学に合格するのに必要な時間が3000時間という説があるので、メンバーは6回東大に合格できるエリート揃い」と紹介された

 Team Mayは選手全員が個人練習に時間を費やす、いわゆる「ゴリゴリのソロプレーヤー」である。てっきり「ここが面白いですよ」というポイントが山のように出てくるかと思ったが、返ってきたのは意外な言葉だった。

 「最初に『Dota2』を始めたときは、やめたんですよね。難しくて」(野球犬選手)。日本代表になる選手ですら、1度は挫折しているというのだ。他の選手たちも、「わかりづらいからなー」「(キャラクターを)100体覚えないといけないし」と困った様子。

 「リアルタイムで10人の選手が動くというだけでも追いきれないですよね。しかも、5人全員が違うことをやっている」(Arab選手)。「たとえ人数が多くてもサッカーでいうボールみたいな追える対象が1つあればいいんですけど、そうじゃない」(toyomaru選手)。

 初心者が感じている難しさに、これでもかというほど共感してくれる選手たち。ありがたいのだが、こちらとしてはどうにか試合を理解したい。一番のポイントはどこなのだろう。

試合中はボイスチャットで指示を出しあう。逆転劇が起きやすい『Dota2』では、最後の最後まで気が抜けないという
試合中はボイスチャットで指示を出しあう。逆転劇が起きやすい『Dota2』では、最後の最後まで気が抜けないという

 共通意見として出たのは、「準備の巧みさ」で試合運びが大きく変わる面白さだ。『Dota2』にはキャラクターが100体以上登場するといったが、全てのキャラクターを自由に使えるわけではない。試合にはピック&バンというシステムがあり、キャラクターを選択する段階で相手に使わせたくないキャラを選択肢から外すことができるのだ。

 得意とするキャラクターが決まっていると、対戦相手からはバン(選択肢から削除)されてしまう。キャラクター同士の相性で戦況は大きく変わるので、試合前のピック&バンに勝敗がかかっているといってもいい。

決勝戦のピック&バン。ここで歓声やどよめきが起こる。ファンはチーム同士の心理戦を楽しんでいたのだ
決勝戦のピック&バン。ここで歓声やどよめきが起こる。ファンはチーム同士の心理戦を楽しんでいたのだ

 そこで提案してもらったのが、注目するエリアを絞ること。お勧めはミッドレーンと呼ばれる中央のエリアだという。ミッドレーンにはRoshan(ローシャン)と呼ばれる中立モンスターがいる。かなり強いのだが、倒すことで試合運びを有利にできるアイテムが手に入るため、プレーヤーはできるだけ入手したいし、敵には絶対に渡したくない。

 このローシャンとのバトルをかけて、ミッドレーンではときに集団戦が繰り広げられる。アイテムを入手できるのはどちらか、大きく盛り上がるポイントだ。ピック&バンでミッドレーンに登場するキャラクターが決まったら、まずはその2体の特性を調べて把握しておくだけでも試合が楽しくなるだろう。

 Team Mayのリーダーは、『Dota2』の面白さを将棋にたとえてくれた。確かに入り口が難しいゲームほど、奥深さにハマると抜け出せないのかもしれない。

 Team Mayが出場する「第11回 eスポーツワールドチャンピオンシップ」は、2019年12月11日(水)~15日(日)に韓国・ソウルにて開催される。世界中が夢中になっている『Dota2』の奥深さに触れてみるいい機会ではないだろうか。

日本代表となったTeam May。写真左から、Suan選手(リーダー/サポート)、野球犬選手(キャリー)、うたたねかえる選手(ミッド)、Arab選手(オフ)、toyomaru選手(サポート)。()内はポジション
日本代表となったTeam May。写真左から、Suan選手(リーダー/サポート)、野球犬選手(キャリー)、うたたねかえる選手(ミッド)、Arab選手(オフ)、toyomaru選手(サポート)。()内はポジション

(写真/大吉紗央里)

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