プロゲーマーによる『パズドラレーダー』の最強決定戦『DRAGON BOOST presents パズドラチャンピオンズカップ TOKYO GAME SHOW 2019』が東京ゲームショウで開催された。鮮やかに優勝したゆわ選手だったが、中学生であったため規定により賞金が獲得できず、「プロとは何か?」をあらためて問いかける結末となった。
東京ゲームショウ、9月14日。『DRAGON BOOST presents パズドラチャンピオンズカップ TOKYO GAME SHOW 2019』が、「e-Sports X RED STAGE」で開催された。現在の「パズドラ」には新生プロゲーマー3人を含む12人がプロライセンスを所持しており、その中から予選を勝ち抜いた3人と、東京ゲームショウで開催された敗者復活戦を勝ち抜いた1人によるトーメント制の大会だ。
この大会は『パズドラレーダー』を使っての1対1の勝負。対戦はターン制で両者同時に操作し、相手プレーヤーのHPゲージを先にすべて破壊することを目指す。パズル操作の技術のみならず、スキル発動のタイミングの駆け引きが勝負を決める。1バトルごとにチームを変更して戦い、2本先取すると勝ち抜けとなる。
ステージ上で行われた抽選により、準決勝第1試合はゆーふぉ選手対スー☆選手、第2試合は現在主要大会を連覇中のあっき~選手対ゆわ選手の組み合わせとなり、ステージでは激しい戦いが行われた。
決勝は、それぞれを勝ち上がったゆわ選手とスー☆選手が激突。圧倒的な強さでゆわ選手が優勝を決め、優勝賞金500万円の大会を制する結果となった。ゆわ選手は中学生であり、年齢に関係なく、中学生であっても腕さえあれば頂点に立てるeスポーツの魅力を、これ以上ない形でアピール。若い世代へのeスポーツへの憧れを拡大させることに成功したといっていいだろう。
優勝したゆわ選手は優勝トロフィーに加え、ドラゴンブースト1年分、明治アーモンドチョコレート1年分、ゲーミングヘッドセットATH-G1などの副賞を獲得。しかし、2~4位の選手が順位に応じた賞金を受け取る中、ゆわ選手だけが優勝賞金500万円を得られないという不思議な光景が、その後に待ち受けていた。
賞品に一部誤りがありました。正しくは、「明治アーモンドチョコレート」です。お詫びして訂正します。[2019/9/17 16:35]
ジャパン・eスポーツ・ジュニアライセンスという壁
ゆわ選手が賞金を獲得できなかったのは、彼がまだ中学生であり、15歳までの選手はJeSU(日本eスポーツ連合)が定めた「ジャパン・eスポーツ・ジュニアライセンス」に該当し、賞金が獲得できないという規定に則っているためだ。プロライセンスが与えられているものの、賞金は獲得できない、いわば準プロという立場なのだ。
しかし、これは強制力のある規定ではなく、現在のJeSUは年齢が低くても大会賞金を得ることに問題はなく、大会運営者に委ねるというスタンスをとっている。他のリアルスポーツには中学生のプロアスリートも存在し、将棋や囲碁の世界にも中学生のトッププロが存在することを考えれば、中学生のプロゲーマーが存在して賞金を獲得することに問題はないはずだからだ。
とすれば、多くの一般メディアも注目する東京ゲームショウという場で開催された大会においては、中学生であっても賞金を得られるルールにしておくべきだったのでは? との指摘は免れないところ。もし賞金が得られない選手も出場する大会だったのならば、プロによる大会という事前アナウンスには問題があっただろう。
ステージ上で、優勝者だけが賞金を得られないという光景が出現してしまったことは、ここ数年で飛躍的に成長したeスポーツの、まだまだ未成熟な部分が垣間見えた瞬間といっていいのかもしれない。
(文/野安ゆきお・写真/中村宏)
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