東京ゲームショウ2019(TGS2019)に華を添える各メーカーのコンパニオン。身にまとうのは各社のイメージに合わせたオリジナル衣装だ。意外と知られていないコンパニオン衣装の舞台裏を老舗衣装メーカー「ROCHE(ロッシュ)」のデザイナーに聞いた。第1回は根幹のデザインについて。

東京ゲームショウ2019を彩るコンパニオン。笑顔をいっそう引き立てる衣装には、作り手のこだわりや工夫があった。今年の衣装について聞くと、声をそろえて「かわいい~!!」と大満足のバンダイナムコエンターテインメントのコンパニオン
東京ゲームショウ2019を彩るコンパニオン。笑顔をいっそう引き立てる衣装には、作り手のこだわりや工夫があった。今年の衣装について聞くと、声をそろえて「かわいい~!!」と大満足のバンダイナムコエンターテインメントのコンパニオン

ファッションショーさながらの手の込みよう

 ロッシュ(東京・新宿)は創業40年の衣装メーカーだ。以前からTGSではコンパニオンの衣装に加え、ゲームキャラクターに合わせたコスプレコスチュームをデザイン、製作してきた。その他、東京モーターショーや東京オートサロンではレースクイーンの衣装を、さらにアイドルやプロ野球チアリーダーの衣装まで幅広く手がける。

 これまでの製作実績にはバンダイナムコエンターテインメント、カプコン、スクウェア・エニックス、コーエーテクモゲームス、DMM GAMES、XPERIAをはじめ、TGS常連企業がずらり。アイドルではAKB48、乃木坂46、ももいろクローバーZ、関ジャニ∞などを手がけ、東北楽天ゴールデンイーグルスのチアリーダー「東北ゴールデンエンジェルス」のユニフォームも同社の製作だ。

【最新画像も多数掲載! 東京ゲームショウ2019のコンパニオンを深掘り】
コンパニオン潮流:衣装に秘められたものづくりの魂 デザイン編
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 3人いるロッシュのデザイナーの中でも、とりわけゲーム分野の指名が多いのが中島一生氏だ。12年目のベテランで各ゲームメーカーからの人気が高いという。

ロッシュのデザイナー・中島一生氏。バンダイナムコは5年以上担当
ロッシュのデザイナー・中島一生氏。バンダイナムコは5年以上担当

 さて、衣装製作の出発点ともいえるデザインは、どのように進められるのか。まずTGSの場合、企業からの依頼が来る時期は「早くてその年の3月頃。遅い場合は8月に駆け込みでオーダーが来る。それでもできる限り対応します」と中島氏。

 中島氏によると、始めはメーカーから今年のブースのイメージを伝えられ、それを基に最初のデザインを考えるという。「簡単でもラフを描いてくれる企業もあれば、口頭で色やテーマだけ伝えられることもある」という。そうして最初に提出するデザイン案は、5~6点に上ることもある。

コンパニオン全員採寸でサンプル衣装づくり

 次にクライアントから伝えられた修正点を反映するため、デザインを再考する。こうした流れを「OK」がもらえるまで繰り返す。「多いと4~5回往復して描き直し、デザインが決まるまで2カ月くらいかかることもある。その分、製作期間が短くなるのですが」と笑う中島氏。その後、クライアントの会議に布地サンプルを持って行き、素材を含めてデザインを最終決定する。

 続いて製作段階に移行するが、サンプル衣装はモデルを全員採寸し、一人ひとりの体形に合わせたサイズで作るという。何とも手の込んだ作業だ。完成したサンプル衣装をモデルに試着してもらい、微調整を繰り返し、ようやく本番用の衣装製作に取り掛かる。

 さらに衣装が完成しても、本番直前のリハーサルまで微調整を続けるという。まさにプレタポルテコレクション(ファッションショー)さながらの手間がかかっているのだ。

 次回はコンパニオンとレースクイーンの衣装を比較し、分野別のつくりの違いなどについて話を聞く。

ロッシュでは各コンパニオンを採寸し、ジャストサイズで衣装を仕上げる。まさに「一点もの」だ
ロッシュでは各コンパニオンを採寸し、ジャストサイズで衣装を仕上げる。まさに「一点もの」だ

東京ゲームショウ2019 最新コンパニオン衣装コレクション(1)

 ものづくりに懸けるデザイナーや製作の裏側を知れば、コンパニオンを見る目もまた違ってくるだろう。ここにTGS2019最新コンパニオンの写真を掲載する。初日ということもあり、コンパニオンの人数はまだ少なめ。明日から一般公開日にかけて、続々と新たなコンパニオンが登場する。ご期待いただきたい。

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(文/北川聖恵、写真/酒井康治=日経クロストレンド)

関連リンク
東京ゲームショウ2019特設サイト
東京ゲームショウ2019公式サイト

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