動画配信でゲームが下手な歌広場を見せる

――この1年、ずっと強さを求められた歌広場さんの活動にも影響しそうなお話です。

歌広場: そうなんです。eスポーツの魅力を「下手でもいいこと」と考えたとき、僕は自分のゲームの下手さをもっとさらけ出したいと思うようになりました。僕はずっと自分という人間を持て余している状態だったんです。ゲームに詳しい、強い、上手いという見方で接してくださっている人は多くて、だからこそゲームのお仕事に関わる機会も増えました。

 でも実は僕、「ファイナルファンタジー」も「ドラゴンクエスト」も「マリオブラザーズ」も、シリーズのタイトルがあんなにあるのに1作もクリアしたことがないんですよ。「テトリス」のような落ちものパズルも苦手です。「え? 歌広場くんて、本当にゲームうまいの!?」ってよく驚かれます(笑)。

――対戦格闘オンリーの、一点突破型ですよね(笑)。

歌広場: そうなんですよ(笑)。『ストリートファイターⅤ』では芸能界最強かもしれませんが、それによって「ゲーム全般がうまい」という幻想を周囲に与えてしまいました。僕自身、下手でもいいと気づくことで、自分で持て余していたその幻想と対峙する機会を得たんです。

 だから、今後は自分の下手さを自由なスタイルで見せる、動画配信のようなことをやってみたいですね。例えば、僕は空間把握能力が異様に低いから「スプラトゥーン」(任天堂のアクションシューティングゲーム)みたいなゲームはすごくヘタクソだと思う。というより、『ストリートファイターⅤ』以外のゲームでは、負けちゃったり、クリアできなかったりすることばかりだと思います。

「下手さを見せる動画配信とかやってみたいですね」(歌広場さん)
「下手さを見せる動画配信とかやってみたいですね」(歌広場さん)

――それは『ゲームセンターCX』(よゐこの有野晋哉さん扮(ふん)する“有野課長”が出演するゲームバラエティー番組)のeスポーツ版ということですか?

歌広場: 実はそういうことなんですよね(笑)。有野さんて下手だけど止めない。ゲーム好き芸能人を10人挙げろと言われたら、有野さんは絶対入ると思います。ゲームが好きという以上に、ゲームに関する体力が異様に高い人なんです。

――へこたれないですよね。

歌広場: あのプレーを見ると、有野課長が多くの人に受け入れられた理由がわかりますよね(笑)。

 今の人たちがテレビ番組や動画配信に求める楽しさって、視聴者が体験できないことを代わりに見せてくれる部分だと思うんです。働いたり、学校に行ったり、今の人って、ゲームを遊ぶ時間が実はあんまり取れないですよね。eスポーツどころじゃない人も少なくないと思うんです。

 そういう人の代わりに、ヒマな僕たちがゲームをやるべきなんですよ(笑)。あくまでも見ている人の代理としてゲームをプレーするんですから、必ずしもうまい必要がない。そこに気づいたんです。

※4回目に続く

(写真/酒井康治=日経クロストレンド編集)