「ストリートファイター」の芸能界最強プレーヤーとして、eスポーツ関連のイベントや番組に出演してきたゴールデンボンバーの歌広場淳さん。その中で、「eスポーツの魅力は下手でもいいこと」に気づいたという(詳細は前回記事)。その意味は? 今後の取り組みと新たな挑戦とは? 集中連載の4回目。

ゴールデンボンバーの歌広場淳さん
ゴールデンボンバーの歌広場淳さん
歌広場 淳(うたひろば じゅん)さん
1985年生まれ。ヴィジュアル系エアーバンド「ゴールデンボンバー」のベース担当。大のゲーム好きで、全国ツアー中は各地へアーケードコントローラーを持ち回り、会場や宿泊ホテルでゲームを行うほど。eスポーツイベントに自ら出場したり、解説やMCも務めたりと、eスポーツへの造詣も深い

下手さを見せるから勝つことの価値が伝わる

――前回の記事「金爆・歌広場淳、eスポーツの魅力は「下手でもいい」こと」で、「eスポーツの魅力は下手でもいいこと」に気づいた、自分の下手さを見せる動画配信をしてみたいというお話がありました。もう少し詳しく聞かせてください。

歌広場淳さん(以下、歌広場):  よく考えてみると、芸能界に入る前、例えば高校時代など、ゲームが純粋な趣味だった頃は、スポーツや勉強が得意な人たちから「よく分からないけど、ゲームをやってるお前は楽しそうだな」って言われていたんですよ。

 その瞬間、僕は勉強でもスポーツでも勝てない人たちが認めるものを1つ持てていて、そこが自分のアイデンティティーにもつながっていたんです。その頃の、自由で楽しかったゲームとの付き合い方を、もう一度、取り戻したいと。

 「歌広場って何がやりたいのか分からないけど楽しそうだな!」「ゲームばっかりやっているけど、なんかいいよね!」。そんなふうに言われるようになりたいんですよね。

――『ストリートファイターⅤ』では常に強さを求められてきたけれど、そこから離れて違うゲームに挑戦することで「下手でもいい存在」になれるということですね。

歌広場: 僕の下手さを知ってもらえば、『ストリートファイターⅤ』に戻ったとき、勝つことの価値が改めて評価される気がしますし、負けることの当然さも理解してもらえるんじゃないかと思っています。

 プロならば強くあらねばならない、負けることは許されないという呪縛に、多くのプロゲーマーが病み始めた時期が実はありまして。例えば、大阪を拠点とするプロeスポーツチーム「CYCLOPS athlete gaming」にGO1さんという選手がいます。『ストリートファイターⅤ』や『ドラゴンボール ファイターズ』が得意な、泣く子も黙る最強の格闘ゲーマーで、ずっと勝ち続けていたにもかかわらず、ずっと病んでいたんですよね。連載第2回でお話しした、この1年の僕と同じような悩みを抱いていたんです。

――強くなければならないという思いに縛られていたんですね?

歌広場: いくら勝っても2位ではダメという状況です。でもゲームって、もっと言えば、プロスポーツって、そういうものではない。負けて当然、負けてもプロとして戦い続けることに意味がある。そこを多くの人に知ってもらいたいと思います。