スクウェア・エニックスのブースで瞬く間に長蛇の列を作った『ファイナルファンタジーVII リメイク』の試遊展示。実際にプレーをしてみると、単なる「名作のリメイク」ではないことがわかった。新旧ユーザーどちらの期待にも応える内容となっている。
なぜリメイクが注目されているのか?
2020年3月3日にPlayStation4で発売されるRPG『ファイナルファンタジーVII リメイク』は、なぜこんなに注目され、期待されているのか?
まず、97年に登場した『ファイナルファンタジーVII』が累計1230万本売れたスクウェア・エニックスの大ヒットゲームであること。これは「ファイナルファンタジー」シリーズのナンバリングタイトルでは歴代二番目の売上本数だ(一位は『ファイナルファンタジーX』と『ファイナルファンタジーX-2』)。
そして、グラフィック表現が2Dから3Dに転換したPlayStation初期の画期的な名作ソフトであること。「新しい」と「美しい」と「面白い」の三つがそろっていたのだ。「ファイナルファンタジー」シリーズのファン以外の記憶にも強く残っているゲームソフトと言える。その後、グラフィックの表現力はどんどん進化した。進化をするたびにふと思い出されるソフトだったのだ。「今“FF7”が出たらどんなにきれいなんだろうか」と。
さらに、今回のリメイクの開発に携わっているのがオリジナル版『FINAL FANTASY VII』を手掛けた主要スタッフであるところも注目されている。このため、最新のグラフィック技術と当時の面白さのエッセンスが生かされたゲームなっているはずだと期待されているのだ。
既視感に動揺して15分があっという間
東京ゲームショウ2019で試遊展示されているのは、19年6月に米国で開催されたゲームの展示会「E3」で世界初公開された試遊版のボイスを日本語に変更したものだ。実際に遊んでみると、初めて体験する映像ばかりなのに「知っている」ことに驚いた。「覚えている」というより「なんだか知っている」という感覚が強い。
キャラクターはもちろん、鈍く光る天井やさびた手すりすら、まじまじと見てしまう。美しい。戦闘システムは大幅に新しくなっており、敵の行動にあわせて操作するキャラクターを戦略的に切り替えてゆく。カメラワークも美しい。ボスもキャラクターも全員「見せ場」があり、違和感やストレスなく表現されている。……と、あれこれ操作しているうちに試遊時間の15分が過ぎてしまった。試遊展示で体験できたのはボス戦だったが、討伐まであと一歩で終わった。
トレイラーの印象が変わる
試遊後、ブース中央で再生されている新トレイラーをもう一度見た。初見時は「きれいだな」というシンプルな感想のみだったが、試遊後は「もう一度始めたい」という気持ちに変わった。ただの「きれいな映像」のゲームは今ではもう珍しくない。『ファイナルファンタジーVII リメイク』はもう一歩踏み込んだ、その先があるような気がした。来年が楽しみだ。
(文・写真/花森リド 写真提供=スクウェア・エニックス)
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