「ウイニングイレブン」シリーズをはじめ、これまでに数々のeスポーツイベントを運営してきたコナミグループが、さらなるeスポーツの発展と普及を目指し、銀座に一大ビジネス拠点を来年オープンさせることが東京ゲームショウ2019で発表された。その全容をお伝えする。

「コナミクリエイティブセンター銀座 eスポーツ関連施設 概要発表会」のステージより
「コナミクリエイティブセンター銀座 eスポーツ関連施設 概要発表会」のステージより

 2019年3月、コナミグループは新たなる活動拠点として、東京・銀座に「コナミクリエイティブセンター銀座」を開設すると発表した。そして今回、東京ゲームショウ2019の開催初日となった9月12日に、コナミブースのステージにてコナミクリエイティブセンター銀座の詳細が公開された。

 ステージに登壇した、コナミビジネスエキスパート代表取締役社長の上原和彦氏は、「開発の拠点でもあり、新たなエンターテインメントを創造、発信できる場にしていきたい。そのエンターテインメントのひとつがeスポーツであり、日本にeスポーツを今まで以上に根付かせるためには、こういった施設、環境が必要と考えました」と、コナミクリエイティブセンター銀座開設の動機を説明した。

 建物の1~3階は、「おそらく日本初」(上原氏)というeスポーツの複合施設となり、その中心として2階にeスポーツの配信やリアルタイムのCG合成、多言語中継なども可能な設備を備えた「esports 銀座 studio」を設けるとのこと。1階にはコナミ製ゲーミングPCやeスポーツ関連機器を販売する、体験型のショールームを備えた「esports 銀座 store」を、そして3階には、プロゲーマーやeスポーツ実況、大会運営などの人材を育成する「esports 銀座 school」をオープンさせることを明らかにした。

 上原氏によると、「日本のeスポーツ全体を発展させるという思いから、『コナミ』の名前をあえて外しました。当スタジオは、どなたでもご利用できるようにしたいと考えており、ストアでもさまざなまブランドの商品を展開し、スクールでも他社のゲームも学べるようなものていきたい」という。

 また、コナミデジタルエンタテインメント プロモーション企画本部 副本部長の車田貴之氏は、「スタジオが人気になったら、もしかしたら自分たちが施設を使えなくなることがあるかもしれませんが、そんなことよりも『日本のeスポーツはここまで盛り上がっているんだ』というのを見せることが大事」と述べ、さらに「esports 銀座 studioではeスポーツだけでなく、例えば音楽や演劇、歌舞伎など、新しいアプローチもできるのではないかと思っています」と語るなど、一企業の範ちゅうを超えてeスポーツの発展に広く貢献したいという意気込みを示していた。

初めて公開された、eスポーツ複合施設の中核になるという『esports 銀座 studio』の完成イメージ画像
初めて公開された、eスポーツ複合施設の中核になるという『esports 銀座 studio』の完成イメージ画像
1階にオープン予定の『esports 銀座 store』のイメージ画像(上)と、コナミ製ゲーミングPCのサンプル画像(下)も公開された
1階にオープン予定の『esports 銀座 store』のイメージ画像(上)と、コナミ製ゲーミングPCのサンプル画像(下)も公開された
来年4月の開校を予定している、『esports 銀座 school』の完成イメージ画像
来年4月の開校を予定している、『esports 銀座 school』の完成イメージ画像
『esports 銀座 studio』内には、本ステージに設置されたものよりもさらに大きいプロジェクターを設置して、eスポーツが楽しめるようになるとのことだ
『esports 銀座 studio』内には、本ステージに設置されたものよりもさらに大きいプロジェクターを設置して、eスポーツが楽しめるようになるとのことだ

「esports 銀座 school」の教育方針とは?

 20年4月に開校が予定されている、esports 銀座 schoolの校長に就任したのは、音楽ゲームの「BEMANI」シリーズをはじめ、長年ゲーム開発に従事した経験を持つ大田良彦氏だ。大田氏によると、同校は「まず第一に、日本のトレンドが集まる銀座のブランド力を生かし、eスポーツのさらなる成長・イメージアップを目指すこと。次に、エンターテインメント企業が運営する学校らしく授業を面白くすること。そして、生徒第一主義による運営を行っていきたい」という3つのコンセプトがあることを説明した。

 さらに同校は、全日制による通年教育のほか、「塾方式での夜間授業も行い、プロゲーマーを目指すかどうか悩んでいる方が、まずは何を学べばいいのか、10代の前半から社会人の方まで学べる環境を作っていきたい」(大田氏)とのこと。しかも、施設はすべてバリアフリーになっているそうなので、「車いすの方にもぜひ来ていただきたいですし、さまざまな方が学びに来る場にしていきたいですね」(同氏)と、バリアフリーならではの強みを生かしていく考えも明らかにした。

『esports 銀座 school』の校長を務めるのは、「BEMANI」シリーズの開発を手掛けたことでも知られる大田良彦氏であることも明らかになった(※左から2人目が大田氏)
『esports 銀座 school』の校長を務めるのは、「BEMANI」シリーズの開発を手掛けたことでも知られる大田良彦氏であることも明らかになった(※左から2人目が大田氏)

 また、大田氏とともに登壇した現役および元プロゲーマーからは、現在の日本におけるeスポーツの問題点として、「選手の引退後のキャリアプランが定まっていない」「ただゲームがうまいだけでは稼げないので、どうやって稼いでいくのかが不安」との指摘があった。ほかにも、「交渉力と英語力が欲しい。世界と戦う以上、英語の情報収集力が求められている」「ゲームのうまさだけでなく、(配信を見てくれた人に対して)ゲーム自体の訴求力を向上させられるスキルを身に着けたい」、さらにはは「日本人が世界大会で実力を発揮できなかった時の要因として、本番で普段の力が発揮できないメンタルの問題と、オフライン会場(対戦相手と同一会場での試合)に場慣れしていないことによる経験不足がある。日本にもオフライン会場がもっとできる環境が欲しい」などといった課題を挙げる人もいた。

 これらの指摘に対し、大田氏は「単にゲームがうまいだけでは、プロゲーマーとしてずっと続けられないという認識は我々も持っています。例えば配信・実況者になったりですとか、さまざまな関与の方法があると思いますので、ゲームがうまくなるだけではなく、もっと広い視野で自分のをどう見せていくのか、しゃべりや配信をどうするかというところまで踏み込んだ授業にしていきたい」との考えを示した。

 さらに大田氏は、セルフプロデュース能力を高める授業として、何とお笑い芸人を招いた授業を実施すべく、芸能事務所と現在交渉中であり、英語力の向上のためにはネイティブで若く、なおかつゲームが好きな先生を起用する予定であることを明らかにした。またオフライン会場の確保については、「歩いて30秒の所にesports 銀座 studioがありますので、学生には日ごろからここを使い倒せるような授業をして場慣れしてもらい、本番でも実力を100パーセント出して世界と戦える環境を作って、スクールの大きなメリットにしていきたい」と応じていた。

 これらの施設の正式なオープン日は、今回のところは残念ながら明らかにされなかったが、「年内には続報を発表したい」(上原氏)とのこと。なお、コナミクリエイティブセンター銀座の公式サイトはすでにオープンしているので、より詳しい情報を知りたい方はチェックしてほしい。esports 銀座 schoolのページを見ると、早くも来週から実施される学校説明会の日程が公開されているので、興味のある方はこちらもぜひご覧になってみてはいかがだろうか。

ステージに登壇されたみなさん。左から順に杉村直紀氏(アジア競技大会『ウイニングイレブン2018』金メダリスト)、吉田友樹氏(eBASEBALLプレイヤー兼GGBOYZ所属)、大田氏、上原氏、車田氏、コバヤシシュウヘイ氏(『Yu-Gi-Oh! World Championship2019』デュエルリンクス部門世界王者)、DOLCE.氏(コナミ専属プロプレイヤー)、KIZOKU氏(野良連合代表取締役)
ステージに登壇されたみなさん。左から順に杉村直紀氏(アジア競技大会『ウイニングイレブン2018』金メダリスト)、吉田友樹氏(eBASEBALLプレイヤー兼GGBOYZ所属)、大田氏、上原氏、車田氏、コバヤシシュウヘイ氏(『Yu-Gi-Oh! World Championship2019』デュエルリンクス部門世界王者)、DOLCE.氏(コナミ専属プロプレイヤー)、KIZOKU氏(野良連合代表取締役)

(文/鴫原盛之、写真/志田彩香)

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