※日経トレンディ 2020年6月号の記事を再構成

2020年3月以降、クラシック音楽の現場では演奏会の中止や延期が相次ぎ、多くの音楽家が演奏の場を失った。人気ピアニストの反田恭平氏も、5月までの演奏会がなくなり、本拠地の欧州にも帰れなくなった。そこで同氏が企画したのが有料ライブ配信による無観客演奏会の「Hand in hand」。反田氏に、クラシック業界初となったチケット制無観客ライブの狙いと今後のクラシック音楽のあり方を聞いた。

ピアニスト 反田恭平(そりた きょうへい)
ピアニスト 反田恭平(そりた きょうへい)
1994年生まれ。高校在学中に第81回日本音楽コンクールで第1位に入賞。2016年のデビューリサイタルは、サントリーホールの2000席が完売した。現在、自身が設立したNEXUS社長を務めつつ、ショパン音楽大学に在学中
(写真/M.Yamashiro)

 「Hand in hand」は、平⽇開催ながら2080⼈がチケットを買い求めた。「密集」を避けるために少人数編成の室内楽とし、サントリーホールの小ホール「ブルーローズ」で実施。定員約400人の5倍、大ホールを満席にした計算になる。しかも、発表から配信までの集客期間はわずか5日間。前例のない取り組みにもかかわらず、黒字化にこぎ着ける成功を納めた。

有料の無観客ライブ「Hand in hand」は、構想から約10日間という急展開で実施が決まりました。

反田恭平氏(以下、反田氏) 僕自身は3月上旬の時点で、5月までの演奏会がすべて夏以降に延期されてしまいました。音楽家にとって、人前で演奏する場が1カ月以上ないというのは、パフォーマンスの維持という面で死活問題です。技術は練習で伸ばせますが、パフォーマンスでは「人に見られること」も重要だからです。そして、演奏会がない状態が4〜5カ月続くとなれば、金銭的な面でも苦しくなります。数カ月間リサイタルやツアーができない中で、どうやって音楽業界はお金を生み出したらいいのか。それをしばらく考えていました。

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