サンリオピューロランドが、ここ数年で入場者数を伸ばしている。2018年度は開園してから初めて200万人を突破。19年度の入場者数はさらに伸びる見込みだ。ピューロランド館長・小巻亜矢氏に近年の持続的成長の理由を聞いたところ、浮かび上がったのは「対話」というキーワードだった。
「対話」とは、相互理解あるいは信頼関係を築くためのコミュニケーションである――。
小巻氏が対話を大切にするようになったのはいくつかの体験からだが、そのなかでも化粧品の訪問販売の仕事をしていたときのことが一番印象に残っているという。
「様々な悩みを抱えた女性と話すなかで、当時の私は良かれと思って自分の考えや答えを相手に伝えるようにしていました。結果として私の価値観を押し付けてしまっていて、それでうまくいかないことがたくさんありました。けれど、肌の悩みの根本にあるのは、心の悩みであると気づき、そこから私自身の考えや答えを一方的に伝えるだけではなく、女性たちの話をまずじっくり聞くこと、つまり対話の大切さに気がつきました」
そんな彼女は14年、サンリオピューロランドに顧問として赴任する。当時は00年代から続く低迷期で、開園した翌年の1991年度には入場者数が約194万人だったのに、2009年度にはその約半分の約108万人に下落した。「長らく低迷していたので、コストや経費をなるべくかけないようにしていたし、新しいことを言い出しにくい雰囲気でした」。加えて、他部署のことには無関心を装うなど、社員同士の対話が少ないことは明らかだった。
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