1万7000店の飲食店が利用するデジタル予約台帳サービスを提供するトレタ(東京・品川)。全国にある繁盛店の予約データの他、メニューのPOSデータを蓄積。これを活用して外食のトレンドを分析できるのが強みだ。2020年に外食から新しいヒットは生まれるのか。同社の中村仁社長に展望を聞いた。

トレタの中村仁社長。松下電器産業(現パナソニック)、外資系広告代理店のオグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパンを経て、2000年に東京・西麻布で飲食店を開業。立ち飲みブームの先駆けとなった「西麻布 壌」の他、とんかつ店「豚組」、しゃぶしゃぶ店「豚組しゃぶ庵」などを繁盛店に育てる。10年にツイッターを活用した集客で「外食アワード」を受賞。11年に料理写真を共有するアプリ「ミイル」をリリース後、13年にトレタを設立し、予約台帳アプリ「トレタ」で飲食業界のデジタル化を支援している
トレタの中村仁社長。松下電器産業(現パナソニック)、外資系広告代理店のオグルヴィ・アンド・メイザー・ジャパンを経て、2000年に東京・西麻布で飲食店を開業。立ち飲みブームの先駆けとなった「西麻布 壌」の他、とんかつ店「豚組」、しゃぶしゃぶ店「豚組しゃぶ庵」などを繁盛店に育てる。10年にツイッターを活用した集客で「外食アワード」を受賞。11年に料理写真を共有するアプリ「ミイル」をリリース後、13年にトレタを設立し、予約台帳アプリ「トレタ」で飲食業界のデジタル化を支援している

 飲食店向けデジタル予約台帳アプリ「トレタ」が、タブレットで直感的に操作できることが支持されてユーザーを増やしている。13年のサービス開始から1万7000店が利用し、年間2億人の予約データを蓄積するサービスに成長した。同種のサービスでは国内シェアトップだ。予約データに店舗での料理やドリンクのPOSデータを連係させるサービスも提供する。こちらは、約1000店が利用し、日々注文された料理やドリンクのPOSデータをクラウドに集めている。

 世の中では、スマートフォンはもちろん、IoTデバイスやキャッシュレス、AI(人工知能)といったデジタル技術が浸透している。飲食店もこうした変化と無縁ではない。しかし、変化のスピードに追いついていない現状がある。デジタル化に積極的な飲食店は一部にとどまり、多くの飲食店は現在でも電話で予約を受け付けて、紙の台帳で管理している。トレタの中村社長は、こうした状況に危機感を抱いている。「デジタル技術の進化によって、飲食店は50年に1度の変革期を迎えている。これはチャンスでもある」(中村社長)と話す。

 大きな変革期に、外食からはどのようなヒットが生まれるのか。この問いに中村社長は、「外食ではここ数年、飲食店の機能を分解する方向でサービスが登場し、消費者から支持を得ている」と答えた。飲食店は、場所(店)、商品(料理)、人(店員)という3つの要素で成り立つ。デジタル化によって、近年これらの要素を切り出したサービスが広がり始めているというのだ。

 そうした例として中村社長が挙げるのが料理宅配サービス「Uber Eats(ウーバーイーツ)」だ。専用アプリから飲食店に料理の出前を依頼し、登録ドライバーが届けるサービスで、人気店のメニューを自宅やオフィスにいながら楽しめることから、国内でもユーザーを増やしている。これは、飲食店の料理から場所と人を切り離したことで成功している例だ。同サービスには、飲食店の注文を増やしたり、新規客を開拓したりできるメリットがあり、従来の飲食店を補完する。

 一方、飲食店の市場を侵食するサービスも広がっている。その例として、中村社長は出張料理人やケータリングを挙げる。これは、店から人(料理人)を切り離したことで新たなニーズを開拓したと言える。こうした消費行動が広がっていることから、自分の店を持たない料理人も増加。さらに、料理人や空きスペースをインターネットで探せるマッチングサービスも登場し、従来の飲食店の周辺に新たな飲食シーンを生み出している。

 こうした例から見えてくるのは、店があり、そこで料理人などのスタッフがいるという、従来型の飲食店とは異なる領域で飲食需要が拡大しているという現実だ。「業界の常識に染まった人が四苦八苦しているうちに、“素人”が飲食ビジネスに次々と参入し、ヒットを生み出している。“飲食店”という固定観念から脱することが新たな飲食ビジネスを生み出す鍵になる」と中村氏は語る。

飲食店向けのデジタル予約台帳サービス「トレタ」の画面
飲食店向けのデジタル予約台帳サービス「トレタ」の画面

 素人の発想が「業界の常識」を打ち破り、ヒットを生み出す。中村社長がそう考える原点には自身の体験がある。

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