日清食品が2020年度に食のイノベーションをテーマにした「ラーメン店」に乗り出す。安藤徳隆社長は、19年10月に設立する予定の社内組織「Nissin Innovation Lab.」(仮称)による新事業の一環として取り組むと言う。

 「ひよこちゃん悪魔化」などの奇抜なキャンペーンに加え、NHK連続テレビ小説「まんぷく」の効果で、2018年度に発売60周年を迎えた「チキンラーメン」や「カップヌードル」などが過去最高売り上げを達成した日清食品。しかし、同社の安藤徳隆社長は危機感を露わにする。

日清食品の安藤徳隆社長。1977年生まれ。2007年に日清食品に入社し、経営企画部部長や日清食品ホールディングスCMO(グループマーケティング責任者)、CSO(グループ経営戦略責任者)などを歴任し、15年4月から現職
日清食品の安藤徳隆社長。1977年生まれ。2007年に日清食品に入社し、経営企画部部長や日清食品ホールディングスCMO(グループマーケティング責任者)、CSO(グループ経営戦略責任者)などを歴任し、15年4月から現職

 「『60周年でチキンラーメン史上最高売り上げ達成、おめでとう!』と喜ぶ一方で、60年前の創業商品に今も食べさせてもらっているという事実に対して危機感も必要。これまでは『カップヌードルをぶっつぶせ!』を合言葉にやってきたが、会社ごとぶっ潰すような、インスタントラーメンを陳腐化するくらいの新しいアイデアがないと生き残っていけない」(安藤社長)

チキンラーメン60周年の2018年度には、ひよこちゃんを悪魔にし、袋麺「アクマのキムラー」を投入するなどして史上最高売り上げを達成
チキンラーメン60周年の2018年度には、ひよこちゃんを悪魔にし、袋麺「アクマのキムラー」を投入するなどして史上最高売り上げを達成

 そこで、2014年から「Beyond Instant Foods(即席食品の価値を超えた新たな『食文化』への挑戦)」という社内スローガンを掲げる同社は、19年10月に食のイノベーションにチャレンジする社内組織「Nissin Innovation Lab.」(仮称)を設立する予定。技術やブランド、マーケティングなど、日清食品グループが持つリソースを横断的に活用して新規ビジネスをいくつもスタートさせ、うまくいったものは事業会社化していくインキュベーター組織だという。

 社内公募や中途採用で人材を確保し、当初は20人程度でスタート。実は水面下ではすでに動き始めており、19年3月に発売した完全栄養食「All-in」シリーズの開発にも関わったそうだ。

19年3月に発売した完全栄養食「All-in」シリーズ
19年3月に発売した完全栄養食「All-in」シリーズ

 その新組織が20年度に向けて取り組んでいる新ビジネスがなんと「ラーメン店」だという。「詳しい内容はまだ話せないが、フードテックやIoTなどをつなぎ合わせた、我々にしかできないラーメン店を作り上げていく」(安藤社長)

 現在の中期経営計画は20年でいったん区切りを迎えるため、新たな中期経営計画ではこうした新事業を数多く盛り込んでいくことになるという。カップヌードルどころか会社ごとぶっ潰すような、食のイノベーションを次々に起こせる会社に――。そう語る安藤社長のまなざしはどこまでも真剣だった。

新たな試みとしてサブスクリプション型防災備蓄セット 「カップヌードル ローリングストックセット」を日清食品グループ オンラインストアで2019年9月2日に発売(初回は税別1万3000円、以降は3カ月ごとに税別2000円)。内容はカップ麺やカップライスなど9食とカセットこんろ、カセットボンベ、コッヘル、保存水、フォーク、ソーラー充電式折り畳みライトなど。13種類から選べる商品9食(3日分の備蓄)が3カ月ごとに届く
新たな試みとしてサブスクリプション型防災備蓄セット 「カップヌードル ローリングストックセット」を日清食品グループ オンラインストアで2019年9月2日に発売(初回は税別1万3000円、以降は3カ月ごとに税別2000円)。内容はカップ麺やカップライスなど9食とカセットこんろ、カセットボンベ、コッヘル、保存水、フォーク、ソーラー充電式折り畳みライトなど。13種類から選べる商品9食(3日分の備蓄)が3カ月ごとに届く

<安藤社長のインタビュー前編はこちら>

(人物写真/的野弘路)