デジタル時代のモノづくりの新潮流D2C(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)活発化の影の立役者がプラットフォーマーだ。商品作りから、販売、マーケティングまですべてがオンラインで完結可能になったことで、ブランド参入の障壁は大きく下がった。D2Cブームの裏側を支える各社の戦略を追う。
国内でも急拡大し始めたD2C市場の裏側を支えるのが、ブランドづくりに必要な機能を提供するプラットフォーマー各社だ。本特集の第1回でも紹介した、ブランドづくりを支えるプラットフォーマーの構成図に沿って各社の取り組みを解説しよう。
特集第7回では、「製造」を請け負うプラットフォーマーを紹介する。ブランドビジネスを始めるうえで、最も高いハードルだろう。特集の第3回で紹介した155cm以下の女性向けブランド「COHINA」のブランドディレクターであるnewn(東京・渋谷)の清水葵氏は、創業当時は洋服製作の知識もなく、ネットの翻訳サービスを使って書いた拙い英文のメールを海外の工場宛てに送り、サンプル製作を依頼しては満足のいかない仕上がりに頭を抱えていたという。
従来のモノづくりはコンセプトやアイデアだけでなく、それを具現化するための知識やスキルが必要になる。加えて素材の調達先や製造する工場を見つけ出し、交渉する力が求められる。こうしたモノづくりの常識が大きく変わりつつある。テクノロジーの活用や、OEM(相手先ブランドによる生産)に特化した事業モデルで、モノづくりを支援する企業が現れている。今ではモノづくりのハードルは大きく下がった。さらに、プラットフォーマー各社の共通項として、「ブランドの生存率を高める」ための仕組みづくりに注力している点が挙げられる。
2019年冬から製販一体型のECプラットフォーム「SPEC」の本格開始を予定しているのがシタテル(熊本市中央区)だ。これまでβ版として大手アパレルメーカーのアダストリアなど、一部の企業にのみ提供していた。シタテルは洋服のデザインから型紙製作、量産までをネットだけで完結できるプラットフォーム「sitateru」を提供する。これに販売の機能を加えたのがSPECだ。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー