消費税率引き上げ後、経済産業省による「キャッシュレス・消費者還元事業」の影響を大きく受けそうなのがEC(電子商取引)サイトだ。消費増税への対応によっては3大ECサイト(Amazon.co.jp、Yahoo!ショッピング、楽天市場)の間でユーザーの大移動が起こる可能性もある。
ビジネスモデルの違いが消費者の動向を左右する
経産省の「キャッシュレス・消費者還元事業」とは、対象となる中小・小規模事業者の店舗で購入した商品の代金を支払う際、クレジットカードや電子マネー、QRコード決済などを利用すると5%の還元を受けられるというもの。実質的な消費税額は4.5%となり、消費税分として8%が本体価格に上乗せされていた従来よりも安く買えることになる。消費者としてはこれを利用しない手はないだろう。
そこで注目されるのが3大ECサイトの対応だ。Amazon.co.jp(アマゾン)、Yahoo!ショッピング(ヤフー)、楽天市場(楽天)では、キャッシュレス決済の対象や還元方法に違いがある。この違いが消費者の動向を左右する可能性があるのだ。
アマゾンの場合、そもそもヤフーや楽天とはビジネスモデルが違う。ヤフーと楽天は、いわゆるインターネット上のショッピングモールで、商品は各サイトに“出店”している店舗から購入する仕組みになっている。それらの店舗が還元事業の加盟店として登録されていれば、各店舗で購入した商品は還元の対象になる。
これに対し、アマゾンの場合は“出店”ではなく“出品”なので、アマゾン自身が販売する商品は還元の対象にならない。対象になるのは、還元事業の加盟店として登録されている事業者がAmazonマーケットプレイスで販売する商品だ。
アマゾンの訴求ポイントは即時充当と利便性
アマゾンの訴求ポイントになりそうなのが、還元分の「即時充当」だ。つまり決済段階でポイント還元分を実質「値引き」するというもの。税込み価格での購入後にポイントが付与されるヤフーや楽天と違い、決済時の支払額が商品の税込み価格から5%を差し引いた額になる。最終的に還元を受けられる点で違いはないとはいえ、ポイントのように失効の心配がないのも大きい。

「クレジットカードによる支払いに加え、AmazonポイントやAmazonギフト券による支払いもキャッシュレス決済扱いになる」と、アマゾンジャパン セラーサービス事業本部 シニアプロダクトマネージャー 中村麗美氏は付け加えた。ヤフーはクレジットカードとQRコード決済「PayPay」の残高、楽天はクレジットカードのみが還元の対象。利用できる決済方法が多いことは、アマゾン有利に働くかもしれない。

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