持ち帰り増加を見越したモスバーガーのユニーク施策

 3つのチェーンの中で唯一、店内飲食と持ち帰りで“本体”を同一価格に設定したのが「モスバーガー」を経営するモスフードサービスだ。つまり店内飲食の場合は本体価格の10%、持ち帰りなら同8%の消費税がかかるため、税込み価格が異なる。単純に考えれば、上記2社に対して不利な印象を受ける。このような選択をした理由として、同社は以下のように説明する。

 「本体価格を同一価格にしない場合、値上げや値下げなど価格改定が必要になる。値下げで増税分を吸収できる環境ではないため、公明正大に対応するには本体価格を同一にすることが得策と考えた。現状でも5割を占める持ち帰りの優位性を活用する、というのも要因」

 増税の影響による店内飲食需要の落ち込みについては、「可能性は否定できないが、店内飲食による居心地の良さやヒューマンサービスの提供により、お客さま満足度の向上を図っていきたい」と話す。

 モスバーガーで注目すべきは、持ち帰り需要の増加を見越してハンバーガーのバンズを2年ぶりにリニューアルしたこと。保水性を上げ、持ち帰りで時間がたってもパサつかず、しっとりとした食感が長持ちするように改良した。さらに重さを平均約3%増量し、食べ応えも向上させた。「バンズリニューアルは持ち帰り需要が増えることを見据えての対応だけではなく、増量による商品価値向上も図っている」(同社)と言う。

 消費者は増税で自分が支払う金額にシビアになりがちだ。企業努力で主力商品の価格を据え置き、増税の影響を吸収しつつチェーンとしての存在感をアピールするのも一手。また商品力自体をアップすることで、税込み価格上昇に伴う不満感を解消する手法もありだろう。どちらも「顧客ファースト」を旗印にした攻めの企業姿勢であることに変わりはない。

モスバーガーは店内のおもてなしもさらに注力するという
モスバーガーは店内のおもてなしもさらに注力するという

節約疲れでいずれ客足は戻る

 軽減税率導入による外食産業への影響について、経済評論家の平野和之氏はこう分析する。

 「駆け込み需要は現状ないため、その反動は少ないだろう。キャッシュレス決済ならコンビニは2%、中小の零細店舗は5%のポイントバックがあるため、低所得者にとっては実質価格は据え置きとなる。一時的には持ち帰りに需要が偏り、店内飲食は相対的に減るだろうが、節約疲れが起きていずれ客足は戻る。外食産業自体は、訪日客の消費が増えたことや物価上昇によって市場規模は拡大している。シニアの単身世帯や共働き世帯の消費が多いため、ヘルシー志向のメニューを充実できる店に分がある」

(撮影/酒井康治、画像提供/日本マクドナルド、モスフードサービス)

■修正履歴
記事掲載当初、日本KFC新井氏の肩書とお名前に誤りがありました。 現在は修正済みです。[2019/09/27 10:45]