5Gの高速大容量・低遅延という特性を生かし、高い信頼性が求められる遠隔操作が実用の域に達しつつある。労働者人口の減少という社会問題に対し、5Gを使った人材や設備のシェアリングが、解決の糸口になる。
高精細の4K映像を伝送できる高速大容量と、1ミリ(1000分の1)秒以下という低遅延。この5Gの特長を生かすことで、自動運転車を遠隔操作するソリューションを特集の5回目(参考記事「自動運転×5Gで変わるビジネス 保険会社は遠隔操作ドライバーに」)で紹介した。ただし5G回線を使った遠隔操作は、障害物の回避や安全な場所への移動など、異常時の対応に限定されると想定されている。「無線通信は100%つながるわけではなく、安全性の保証が難しい」(NTTドコモ執行役員5Gイノベーション推進室室長の中村武宏氏)からだ。そのため、ソリューションの普及は、自律的な自動運転技術が確立してからで、まだ数年かかるとみられる。
これに対し、技術的なハードルが低く、実用化間近とみられるのが、建設機械(建機)の遠隔操作だ。理由は2つ。建設現場や鉱山など、一般の人が立ち入らない空間で使われるため、安全性の担保がしやすい。加えて、広範囲を動き回るわけではないので、建機を使う場所に基地局をピンポイントで整備すればいい。
NTTドコモは2017年5月から建機大手・コマツと組んで遠隔操作の実証実験を行っている。「従来のLTE回線でも遠隔操作は可能だが、遅延で、表示される映像と遠隔操作による建機の動きにタイムラグが出る。そのため遠隔オペレーターが違和感を覚えてしまう。これに対し、5Gならタイムラグなく操作が可能だ」(中村氏)
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