5Gの正式サービスを前に、その魅力を伝え消費者の心をいち早くつかもうと、携帯電話各社がプレサービスの提供に乗り出した。中でもソフトバンクは、例年10万人規模が訪れる音楽フェス「FUJI ROCK FESTIVAL '19」に5Gを使った新たなエンターテインメントの体験コーナーを用意した。その様子を現地リポートする。

「臨場感たっぷりのきれいなライブ映像を、しかもリアルタイムに見られて、想像以上に楽しかった。名前は知っていたが、5Gでこんなことが実現可能だとは驚いた」
こう話すのは愛媛県西条市に住む20代の安藤夫妻。2019年7月下旬、新潟の苗場スキー場で開かれた音楽フェス「FUJI ROCK FESTIVAL '19」を訪れた際、次世代の携帯電話高速通信規格「5G」を使ったサービスを会場内で体験できることを知りソフトバンクのブースに立ち寄った。

体験したのは、VR(仮想現実)のヘッドセットをかぶると目の前にCGで再現した仮想のステージが現れ、今その瞬間にFUJI ROCKで演奏しているアーティストの高精細な生映像を視聴できるというデモだ。広大な敷地に何カ所ものステージが用意されるFUJI ROCKは、歩き回るだけでなかなか骨が折れることで知られる。仮想空間の世界の中に飛び込めば、ボタン一つでメインの3ステージのいずれかの会場のほぼ最前列に“ダイブ”して迫力あるアーティストのパフォーマンスを楽しめる。
ソフトバンクはFUJI ROCKの会場に向かう大半の人が使うJR越後湯沢駅の構内に、5Gのポスターを大量に掲示してほぼジャックしていた。宣伝効果が効いたのか、同社のブースには常に長蛇の列ができていた。

5Gでライフスタイルが劇的に変わる
2020年3月ごろに正式に5Gサービスを開始する予定のソフトバンク。同社が、消費者向けに体験型の5Gのデモを広く披露するのはこれが初めてとなる。デモを統括するコミュニケーション本部の時村晋太郎課長は、「ライフスタイルが5Gによって劇的に変わる。音楽、スポーツ、ゲームなどいろいろな分野で、日常的な消費者とエンターテインメントの接し方が今とは違う姿になる。そのことをデモでアピールしたかった」と話す。
ライバルのNTTドコモは9月20日に開幕する「ラグビーワールドカップ2019 日本大会」に合わせて、全国8会場のスタジアムなどで大々的に自社の5G技術を一般披露することを表明している。なんとしてでもライバルに先んじたかった同社は、苗場スキー場での5Gの実験局免許を7月に取得すべく、担当者が早くから現地入りして準備を進めるなど、今回のデモには力を入れていた。携帯電話各社に5Gの周波数を割り当てた後としては、同社がプレサービス提供の一番乗りだという。
このコンテンツ・機能は有料会員限定です。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー