韓国では2019年4月に世界に先駆けて5Gサービスが始まった。20年春から本格サービスが始まる日本に比べて1年先行した韓国で、5Gはどのように使われているのか。見えてきた5Gの可能性とは何か。SKテレコムやKTと並ぶ韓国の通信大手LGユープラス副社長の崔周植(チェ・ジュシク)氏に聞いた。
韓国が世界に先駆けて19年4月に5Gサービスを展開できた理由は。
チェ・ジュシク氏(以下、チェ氏) 通信事業者間の競争と、ユーザーの厳しい目だ。LGユープラスは、事業者間の競争を勝ち抜くため11年ころにLTE網を拡充し、その後、他社に先駆けてLTEの全国網を構築した。エリア展開は、いつかはやらなければならないもの。であれば、他社に先駆けて構築するほうが投資効率は高くなり、ユーザーへのアピールもできる。
5Gでは、政府の後押しもあり、競合他社も準備を進めた。競争力を高めるうえで、対抗しないわけにはいかない。LTEと同様の考え方で、まずは都市部から基地局の拡充を急ピッチで進めている。サービス開始後に韓国紙が掲載した速度テストの記事でも、LGユープラスが良い成績を出している。
韓国のユーザーは通信品質に対する評価が厳しい。自宅や店舗内などの屋内、地下の駐車場などでも、十分につながらなければ、改善に対する強い要望が届く。我々はそうしたユーザーの声に応えてきた。だからこそ、韓国の通信品質は世界ナンバー1だと自負しているし、5G網も急速に広がっている。
韓国には端末や通信機器の主要メーカーがあり、5Gサービスを構築しやすかったという面もある。5G対応スマホは韓国のサムスン電子やLG電子が開発しており、サービス構築に向けて密接な連携ができた。通信機器はサムスン電子もそうだが、中国ファーウェイも同じアジア内の企業であり、対応は素早い。
年内に人口カバー率90%強
現在、5Gのカバー率はどの程度になっていますか。
チェ氏 ソウルの地上はほぼ全域をカバーできているし、ほかの主要都市も同様に拡充している。19年末までには85都市に広げる。人口カバー率は90%強になるはずだ。まだ地下鉄の駅構内は通信できない場所が多いが、これも拡充する。年末にかけては、地方都市でも地下鉄でも「これならいいね」と実感できる5G網になっているはずだ。
ユーザーは5Gの何に魅力を感じていますか。
チェ氏 まずは最新のスマートフォンが欲しいという人が選んでいる。1回買えば2年は使うのだから、どうせならいい端末が欲しいという人は多い。今、韓国でフラッグシップモデルを買うとなれば、5G対応になる。例えば、サムスン電子の「Galaxy」の新モデルを買うなら、通信プランも5Gになるというわけだ。
19年10~11月になるとミドルクラスの価格帯の5G端末も出てくる。通信が速いし、端末の価格も高くないとなれば、さらに5Gの比率が高くなる。通信事業者も5Gを強力にプロモーションしている。
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