動画に登場して年間1億円以上稼ぐ個人やグループのYouTuberが続々と誕生して、それに応じて関連市場も活発化している。2019年7月に米アナハイムで開催された世界最大規模のYouTuberイベント「VidCon(ビドコン)」への出展企業や参加者から、動画関連やZ世代の市場を占う。
世界最大級のYouTuberイベントであるVidConには、さまざまなプロファイルのユーザーがやってくる。YouTuberとそれを目当てにしたファン、YouTuberを目指す若年層、映像関連のクリエイターなどが集まってくる。過去のデータではあるが、女性が約6割、17歳以下が約4割にもなるという。デジタルネーティブである1990年代後半から2000年代にかけて生まれたZ世代が多く来場している。
一方で、YouTubeやYouTuberを活用したデジタルマーケティングや製品・サービスの情報を仕入れに来ているビジネスパーソンの姿も目立つ。カメラを扱う日本の大手メーカーのエンジニアは「マーケティングなどで影響力を持ち始めたYouTuberが、どのようにカメラを活用しているのか。本場の状況を知りたくて参加した」と言う。
VidConの特徴はZ世代をはじめとした、多様な参加者がいることだ。日本のビジネスカンファレンスでは見られない光景だ。そうした層の反応を見たい消費者ブランドやメディア企業などが、コミュニティーゾーンと呼ぶエリアに出展している。テレビなど従来のメディアでは訴求できなくなったZ世代などにいかにアクセスするのか。作り手が想定しない使い方をいかに発想するのか。VidConにはそれらに対する解がありそうだ。
キヤノンがYouTuber用の小型デジカメ
展示会場で参加者の注目を集めていたのが、キヤノンだ。若年層などをターゲットにした小型の動画用デジカメ「CANON IVY REC:Clippable Outdoor Camera」の試作品を展示していた。
CANON IVY RECはハイビジョン動画の撮影が可能な、1300万画素のデジカメだ。防水かつ落下などの衝撃に耐えられるように設計されており、クリップでジーパンやカバンにぶら下げられる。機能を絞り込んで、撮りたいシーンを手軽にすぐ撮影するというコンセプトだ。WiーFi環境があればハイビジョン動画をすぐインターネットにアップロードできる。
VidConの開催に合わせて1台130ドルでクラウドファンディングサイトの「INDIEGOGO」で試験販売を始めた。数日で500台を売り切った結果、2019年8月中には仕様を決定する見通しだ。9月に製造を始めて10月には発送を始めるという。キヤノンの説明員はVidConの会場で「反応を見て、正式に製品にするかどうかなどを決める」と言及していたので、製品化される可能性が高そうだ。
このほかアクションカメラの米GoProや、YouTuberが撮影に使う三脚やマイクのメーカーなど、さまざまなカメラ関連メーカーが参加した。その場で商品を購入している来場者も少なくない。
このコンテンツは有料会員限定です。お申し込みをされますと続きをご覧いただけます。
- ①2000以上の先進事例を探せるデータベース
- ②未来の出来事を把握し消費を予測「未来消費カレンダー」
- ③日経トレンディ、日経デザイン最新号もデジタルで読める
- ④スキルアップに役立つ最新動画セミナー