動画に登場して年間1億円以上稼ぐ個人やグループのYouTuberが続々と誕生している。そうした人気のYouTubeチャンネルになるための条件は何か。グロースハックは可能か。2019年7月に米アナハイムで開催された世界最大規模のYouTuberイベント「VidCon(ビドコン)」における、米ユーチューブやトップコンサルタントの講演から見通す。
「検索をうまく活用すれば、YouTubeのオーディエンスを成長させることができる」
動画を活用したマーケティングに詳しい米BriggsbyのCEO(最高経営責任者)であるJustin Briggs氏は、VidConのセッションでこう強調した。「Advanced SEO Strategies to Drive Viewership and Rankings」と題した講演の会場は、動画でビジネスを成長させたい参加者で満杯となった。
YouTubeのコンテンツが視聴されるには、その動画があることに気づいてもらう必要がある。そのためにまず必要なのは「YouTube内でのキーワード検索でコンテンツがランキングで上位に表示されることだ」(Briggs氏)。
YouTubeは動画の中身を理解している
Briggs氏はまず、YouTubeがどのようにして各チャンネルの動画コンテンツを認識しているのかを説明した。動画のタイトルや概要、キーワードなどはもちろんのことだが、「YouTubeは動画内の映像や音声を判別している」と指摘した。
YouTubeの人工知能(AI)機能が、映像内にどのような物体が映っているのかを判断したり、音声をテキストに変換してキャプションを表示したりして、そのコンテンツがどのような種類のものであるのかを判断しているのだという。「YouTubeがコンテンツを理解し始めると、キーワードの影響は小さくなってくる」(Briggs氏)。
Briggs氏はこうしてYouTubeがそのコンテンツの内容を理解すると、キーワードよりも内容を重視するようになってくると指摘した。いわゆる分析に必要なデータが十分にそろっていないコールドスタート問題のようなものだろう。トップ10のビデオのうち42%の音声がテキスト化されていたという。キーワードによる検索最適化は500万回以上の視聴がある有名チャンネルにおいて、特に効果が高いという。
ユーザーが動画を長く視聴すれば、YouTubeにとって広告のタイミングが増え、検索などのランキングも上がる。Briggs氏によると、20秒間で5割のユーザーが離脱するといい、「8秒以内に視聴をやめるのは不満足で、2分見れば満足していると判断できる」(Briggs氏)。4分以内の短いビデオコンテンツはランクが悪くなる傾向にもあるという。
また、コンテンツの新しさも重要な要素であり、「最初の数週間が最もランクが上昇する」(Briggs氏)。トップYouTuberが毎日のようにコンテンツを公開する最大の理由がここにありそうだ。
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