商品の認知はある。けれど売り上げが低迷している――。こんな悩みを、多くのマーケターが抱えるようになった。ロングセラーブランドや、誰もが知る商品で顕著だ。そして実のところ、その悩みの種は1つの理由に絞られる。それは、「パーセプション」の問題だ。
売り上げが低迷しているが、商品やサービスの品質が落ちているわけではない。既に認知度は十分高いため、広告・宣伝費の投下量の問題でもなさそうだ。低迷の根源はどこにあるのか。筆者は、こうした相談を企業から数多く受ける「PRの専門家」という立場にある。こうしたマーケティング課題は、パーセプションがその理由であることが多い。
「確かに最近、パーセプションという言葉を聞くようになった」。そう感じる読者も多いだろう。このパーセプションの意味を大辞林で引いてみると、次のように記載されている。
パーセプション【perception】 知覚、理解、認識。
辞書的にはこのような意味だが、もう少し平たく言えば、「モノゴトの見え方、捉え方」という感じだろう。物理的なモノや事象は、それ自体は唯一存在するものだ。しかし、その見え方となってくると話は違う。
なぜ、パーセプションが重要なのか
見え方や捉え方というものは、人によって異なり、また時代によって移り変わっていく。トレンドの発生や移り変わり、そして衰退の裏には、常にパーセプションの変化が潜んでいるのだ。だとするならば、パーセプションをコントロールすることで、トレンドを生み出すこともできるはずだ。
このパーセプションが、現代のマーケティングでは重要性が増している。その背景には、消費者の変化がある。情報があふれ、いわゆる「ググる」ことをしない生活者が増えている。「自分に関係ない情報」は、むしろ邪魔な存在として認識されかねない。
このような時代におけるマーケティングは、もはや「認知」を争う戦いではない。「認識」の戦いなのだ。なぜなら、その商品やサービスを「知っているかどうか」はもはや問題ではなく、「自分に関係があるかどうか」の判断が全ての入り口になる。この連載では、こうした「認識変容=パーセプションチェンジ」がなぜ起こるのか、どうしたら起こせるのかをひもといていきたい。
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