駅や電車、雑誌や新聞、スマホの画面。あらゆる場所で見る広告には、さまざまなグラフが使われている。広告の目的は、商品を購入させること。誇大ともいえるグラフ表現が使われることがある。そうした隠れた「狙い」をどう見抜くか。ビジュアライゼーションの達人、松島七衣氏が解説する。
2.比較できるもの同士を比較する
3.グラフ化されていない一面を考える
今回は、企業の作る商品やサービスの広告で見かけたNG例をいくつか紹介していきましょう。広告では「瞬時にメッセージを伝えたい」という狙いがあるからでしょう。第1回(関連記事「TVで見かけたNGグラフ、だまされない目利き力」)に定義した「美グラフ」の3つのポイント、①正しく伝わる②分かりやすい③シンプルの中で、「シンプル」は満たされていることが多いようです。一方で「正しく伝わる」ことよりも、商品やサービスの効果を大きく見せたいという意図が伝わってくる例もあります。
広告の目的は、商品を買いたい気持ちにさせること。広告の担当者の立場で考えると、ある程度の強調は、仕方のないことなのかもしれません。それでも、正しく情報を伝えるという本来のビジュアライゼーション(可視化)の目的に照らし合わせたときに、適切ではないものがあることは知っておく必要があります。そうした視点を持つことで、読み手として情報を見誤ることや、グラフの作り手として相手に誤解を与えることが少なくなります。
データの集め方はグラフの信頼性を支える土台
ここでグラフ作成のプロセスを簡単にまとめます。下のような①~⑤の過程を経て、サイクルを回すことになります。注目したいのは、それぞれの過程において、作成者の意図的な判断などが加わることで「正しい情報を伝える」というグラフ本来の役割を踏み外す危険性もはらんでいることです。
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