チョコレートはベルギーに代表されるように欧州が本場だ。安定した味と品質で世界中どこでも商品を手に入れることができる。これに対して開拓者精神あふれる米シリコンバレーの起業家たちがテクノロジーと情熱で挑んでいる。究極のパーソナライズと、素材のよさを極限まで引き出す新発想で、新市場を開拓している。

米CocoTerraの家庭用チョコレートメーカー。現時点で試作品だが、自らのレシピでチョコレートを作ることができる
米CocoTerraの家庭用チョコレートメーカー。現時点で試作品だが、自らのレシピでチョコレートを作ることができる

 「なぜ家庭用のチョコレートメーカーを作ったかって? コーヒーやアイスクリーム、ごはんの家庭用メーカーがあって、チョコレートにない方がおかしいだろ。チョコレートの世界市場は1150億ドル(約12兆円)と巨大だ。もっと選択肢があっていい」

CocoTerraを創業したネート・サール氏
CocoTerraを創業したネート・サール氏

 コーヒー関連のビジネスに携わっていたネート・サール氏は、米CocoTerraを創業した理由をさらりと言ってのける。拠点とするのはテクノロジー企業発祥の地であるシリコンバレーのパロアルトだ。

 サール氏によるとチョコレートの家庭向けメーカーは世界初だという。CocoTerraのチョコレートメーカーは一般的なコーヒーメーカーとほぼ同じ大きさだ。材料を投入して約2時間で完成する。

業務用の5工程を1台で実現

 チョコレートの製造は、(1)カカオ豆をひく、(2)精製、(3)かくはん、(4)テンパリング(再加熱)、(5)成型の主として5工程から成る。このため業務用では主として5種類の装置を導入して、生産する必要がある。

 CocoTerraのチョコレートメーカーはこれを1つの装置に収めて小型化した。「比較的狭いといわれる日本の台所にも置けるのではないか」(サール氏)。大きな役目を果たすのが筒状の透明容器に入ったステンレスの金属球である。豆をひいたり、かくはんしたりする際に利用する。

スマートフォンのアプリでレシピを管理し、チョコレートメーカーに送信できる(アプリは開発中で、試作画面)
スマートフォンのアプリでレシピを管理し、チョコレートメーカーに送信できる(アプリは開発中で、試作画面)

 CocoTerraを利用することで、自分好みのチョコレートを作ることができる。COO(最高執行責任者)のカレン・アルター氏は「シンプルなメーカーと、プロ向けの専用装置の両方を兼ね備えている。あらかじめセットしたレシピもあるが、プロ並みのカスタマイズもできる」と説明する。苦みのあるものからミルク風味、酸味のあるもの、抹茶など好みに合わせたチョコレートを作ることができる。ピーナツなどを混ぜることも可能だ。

 こうしたレシピはスマートフォンのアプリで決めることができ、チョコレートメーカーにWi-Fi経由で転送する仕組みになっている。好みに合わせて材料の量を調整することが可能で、そのレシピを共有することができる。サール氏は「CocoTerraのレシピを共有したり、情報を交換したりするチョコレートのコミュニティーサイトを立ち上げたい」と言う。

 現在のところチョコレートメーカーは試作の段階で発売時期は未定だ。「現在、毎日のように問い合わせが来ている。日本の企業も関心を示してくれている。日本人がプレミアムなチョコレートを好きなことを知っている。欧米のほか日本市場への投入も真剣に考えている」(サール氏)。価格については「数量が出れば、他のメーカーと同様の価格帯になるだろう」(同)との考えを示した。

 家庭向けのほか、コーヒーやベーカリーショップなどでの業務用、チョコレート製造会社の試作用の大きく3種類の顧客を想定している。カカオなどの材料についてもスマートフォンのアプリから注文できるようにする予定だ。

 サール氏は「チョコレートは誕生日やバレンタインデーなどさまざまな思い出のシーンで食べられるものだ。それぞれの利用者が昔を思い出しながら、自分自身のストーリーを提案してほしい」とチョコレートメーカーに託す夢を語る。

 
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