新興フードテック企業のルナロボティクス(東京・大田)が開発中の「colony(コロニー)」は、8~12本の調味料カートリッジを備え、無数の味わいを生み出す独創的な調味料マシン。JAXA(宇宙航空研究開発機構)などが仕掛ける宇宙食プロジェクトへの参加も決定した。その実力は?
ルナロボティクスが開発するコロニーは、いわば調味料の“プリンター”だ。しょうゆやみりん、酒、酢、塩、だしなど、基本的な調味料を詰めたカートリッジを本体に装着。それらをポンプで吸い上げ、それぞれ指示通りの量を“出力”する。調味料の組み合わせや、配合比率によって膨大な種類の味わいを生み出すという構想だ。
例えば、チキンナゲットのソースやドレッシングなら数百種類、卵かけごはん(TKG)のたれであれば1500種類を超えるバリエーションを理論上作れるという。ハチミツの他、マヨネーズやケチャップ、コチュジャンなども粘度を調整することで、カートリッジに充填可能になる。コロニーで“出力”された合わせ調味料は、サラダや揚げ物ならそのままかけたりソースとして付けたりして食べるだけ。煮物料理なら材料と一緒に煮込むことで、普段と違った味わいを自由自在に楽しめる。
これまでの調理家電は、炊飯器にしろオーブンにしろ、プロ並みの「火加減」の再現を目指したものや、調理時間の短縮、手間なし調理を実現するコンセプトがほとんどだった。それに対してコロニーは、料理にとって最も重要な「味付け」にアプローチする発想で、料理が苦手な人でも直感的に五味(甘み、酸味、塩味、苦み、うまみ)を操れる。アイデア自体は、世界でも類を見ないものだろう。
その開発背景には、ルナロボティクス社長の岡田拓治氏の料理人としての経験がある。
多彩な味付けで宇宙食もおいしくなる
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