東京・恵比寿のオフィスビルに、スタートアップ企業PLANTIOが運営する斬新なシェア農園がオープン。個人ごとに区画が分けられた従来のレンタル菜園とは異なり、会員が共同で管理する。センサーやAIを駆使したハイテク農園。東急不動産をはじめ、大手デベロッパーも注目する新たな「農」の形とは。
東京のど真ん中、JR恵比寿駅から程近いオフィスビルに、「食」と「農」を変える可能性を秘める実験的なシェア農園が2019年6月にオープンした。渋谷発のスタートアップ、PLANTIO(プランティオ)が運営する「SUSTINA PARK EBISU PRIME」だ。
シェア型コミュニティーファームと銘打ち、栽培している複数の作物を数十人以上の会員で共同管理するのが最大の特徴。利用者ごとに区画が設けられ、おのおのがそれぞれ作物を育てる従来のレンタル菜園とは一線を画す、全く新しい農園だ。
センサーと栽培用AIでモニタリング
訪れてみると、さまざまなテクノロジーが盛り込まれている点に驚いた。まず入り口にはスマートロックが設けられ、会員なら誰でもスマホを使って自由に出入りが可能。作業に必要なものは共用ボックスに収められ、手ぶらで行ける。7月末に訪れた時点では、ズッキーニやナス、トマトといった夏野菜に加え、パクチー(コリアンダー)などのハーブ類が青々と茂っていた。
さらに、農園の各所にはセンサーやカメラが設置され、土壌の温度や水分量、照度、外気温などをモニタリング。データはクラウド上で動作する独自開発の植物栽培特化型AI「Crowd Farming System」で分析され、水やり、間引き、誘引などの手入れすべきタイミングや収穫時期の目安を予測。このAIは、農業のプロの知見を“教師”として学習したもので、農業初心者や初見の作物でも簡単に栽培ができるのが強みだ。人の手による作業が必要になった場合、専用のスマホアプリを通じて会員に通知が届く。
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