介護食に革命を起こす斬新な家電を、パナソニック発のベンチャー「GIFMO(ギフモ)」が開発。肉などを使った家庭料理や総菜を、見た目そのままに軟化できるのが革新的だ。普通食をスムーズに食べるのが困難な人の救世主として、国内外で注目を集めている。

 肉などを使ったさまざまな料理を、見た目を変化させずにやわらかい介護食に変える画期的な家電。それが、パナソニック発のベンチャー「GIFMO(ギフモ)」が開発をしている「DeliSofter(デリソフター)」だ。パナソニック アプライアンス社の新規事業創出プラットフォーム「Game Changer Catapult」(以下、GCカタパルト)から生まれた初のプロダクトで、介護食に革新をもたらす家電として注目を集めている。

 高齢化社会の進行に伴って、介護食のニーズは急増。特に、摂食嚥下(えんげ)障害に悩む人が増加している。摂食嚥下障害とは、食べ物を歯でかみ砕き、飲み込んで食道へと送る一連の機能が低下することを指す。普通の食事を摂取することが困難になるうえ、悪化すると気道へ食べ物が流入する誤嚥(ごえん)や窒息の原因にもなる。そのため、嚥下障害を抱える人のいる家庭では、普通の食事に水分を加えてミキサーなどで流動化するか、市販の嚥下対応食に頼らざるを得なかった。その嚥下対応食を自宅で簡単に作れるのが、DeliSofterなのだ。

開発中の試作機。写真右はGIFMO代表の森實将氏、写真左は同取締役の徳弘憲一氏。嚥下障害は、加齢だけでなく、脳卒中などの後遺症、事故などが原因でも起こる
開発中の試作機。写真右はGIFMO代表の森實将氏、写真左は同取締役の徳弘憲一氏。嚥下障害は、加齢だけでなく、脳卒中などの後遺症、事故などが原因でも起こる

「料理を入れるだけ」で介護食に“変身”

 画期的なのが、食材自体をやわらかく調理するのではなく、出来上がった家庭料理や市販の総菜を見た目そのままに柔らかく加工できる点。料理を本体に入れて調理ボタンを押すだけで、5~20分ほどで対応食に“変身”する。「従来は軟化させるのが難しかった肉など、タンパク質を多く含む料理にも対応できる」(GIFMO代表の森實将氏)。ペースト食や市販の介護食を別途用意する必要がなく、料理の手間や費用が減る。「食事は単に口から栄養を摂取するためのものではなく、だんらんの場としても重要。家族が一緒の食事を楽しめることで、生きがいにも通じる」と、森實氏は開発の意義を語る。介護する人の負担を減らしつつ、障害を抱える人の食の楽しみまで守る――、まさに食のイノベーションだ。

 試作段階のDeliSofterで調理した鶏の唐揚げとブロッコリーは、色みこそやや淡く変化したものの、形状をしっかりキープ。食べてみると、どちらも適度な食感が残りつつ、歯を使わず舌と上あごで簡単につぶせるほどやわらかかった。味わいもそのままだ。一般的な介護用の流動食に比べると、満足感は極めて高い。やわらかさの調整も可能で、嚥下障害のリハビリにも役立ちそうだ。

試作機で加工したブロッコリーと鶏の唐揚げ。どちらも左側が加工前で、右側が加工後。フォークでスッと切れ、舌で楽につぶせるほど柔らかい
試作機で加工したブロッコリーと鶏の唐揚げ。どちらも左側が加工前で、右側が加工後。フォークでスッと切れ、舌で楽につぶせるほど柔らかい
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