7月に開催されたJapan Expo(JE)では、日本の高校生がフランスの学生とeスポーツで対戦するイベントも開催された。日仏対戦に臨んだのはルネサンス高校eスポーツコースの生徒たち。高校を経営するルネサンス・アカデミーの取締役会長である橋本太郎にJEの会場で聞いた。
ルネサンス高校グループはコンテンツ流通事業のブロードメディア子会社のルネサンス・アカデミーが運営する通信制の高校だ。2018 年4月に、日本で初めてeスポーツコースをルネサンス大阪高等学校で開校した。19 年4月には、梅田eスポーツキャンパスを設立、新宿代々木キャンパスにもeスポーツコースを開設した。JEでは日本eスポーツ連合(JeSU、東京・中央)が後援し、カプコンの『ストリートファイター V アーケードエディション 』とコナミデジタルエンタテインメントの『ウイニングイレブン 2019』で対戦した。ルネサンス高校は9月12日から開催した「東京ゲームショウ 2019」にも出展してJEの様子なども紹介した。

Q フランスでeスポーツ対戦、狙いは?
橋本 あまり大々的には言ってきてないんですけど、今回参加した10人の生徒のうちの何人かは、かつて不登校でした。彼らは学校に行けなくなって、家でゲームなどしていたんですね。いろいろと悩みや苦しみを抱えているような状態のお子さんだったんです。でもまた、学校に来るようになりました。
eスポーツはチーム戦ですから、彼らは仲間とゲームをやるために学校に来るようになった。そういう子たちがチャンピオンになったり、フランスまで来て堂々とエキシビションマッチをしたりするということをどうしてもやりかったんです。これだけの人の前で堂々と渡り合える高校生になったことを、自分たちなりに考えてもらう。経験してほしかったんです。

Q 実際JEに参加してみていかがでした?
橋本 なぜJEだったかというと、ここはアウェー(対戦相手国内での試合)のようでもホームなんですよ。外国でこんなにホーム感覚の場所を僕はほかに知らなくて。うちの高校生のデビュー戦ですよね。初めて海外に来た子だっていますし、家から出ることがつらかった子もいます。そういう子たちを連れてくる上ではここは一番だと思いました。eスポーツコースを始めたのは2018年の4月からですが、19年4月には規模を拡大した「梅田eスポーツキャンパス」も設立しました。6月にはフランスのパリ・ゲーミング・スクールとの業務提携なども進めていたため、JEへの出展もちょうどその頃から考えていました。
対戦イベントの初日はちょっと設営が失敗して、始まりが20分ぐらい遅れたんですけれども、最後はものすごい盛り上がりで、本当にうれしかったです。うちの生徒たちは誰一人フランス語を話しませんが、ブースではみんな(音声翻訳機の)「ポケトーク」で、「試しに遊んでみませんか」と(フランス語で)出てくるのを見せて、コミュニケーションしていました。面白いですよね。
Q eスポーツは日本でもこれから盛り上がりそうです。
橋本 世界と戦うのがeスポーツ、というのがeスポーツコースに対して僕が思っている強いモチベーションです。日本のメディアの記事を見ていると国内の話ばかりですが、eスポーツは世界と戦うものなんですよ。だから海外ではすさまじい人気です。
裾野も広いんですね。みんなプロ選手になることばかり考えていますが、バックヤードで何十人も動いて、ステージを切り盛りしています。そういう運営を支えている仕事も体感することが大事だと思います。
今回の設営も僕らが提携したパリ・ゲーミング・スクールと一緒にやっています。たどたどしいところがいっぱいあるわけですが、それを自分でやるというのが大切だと思っています。

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