2019年7月4~7日の4日間で25万人を集めた2019年の「Japan Expo」(JE)。このイベントを始めたトマ・シルデ氏に日本のコンテンツの海外展開、JEの今後などについて聞いた。日本企業はJEを市場調査などで活用すべきだ――。本連載の記事と併せてお読みいただきたい。
Q 20回目の記念開催ということで重視したポイントは?
A(トマ・シルデ氏) 難しい質問ですね。「20年であるということ」が既にポイントです。それは、私たちが20年もの間、日本の文化に好意、パッションを持ち続けているという証人だということ。それが20年後も、その思いが継続していくようにというのが、今回のイベントへの思いです。
Q 2019年の目玉企画を改めて教えてください。
A 1つは、eスポーツのスペース。(通信制高校などを運営する)日本の会社、ルネサンス・アカデミー(茨城県大子町)との共同運営です。2つ目は、招待客の豪華さでしょう。『デビルマン』『マジンガーZ』などで知られる漫画家の永井豪氏、『銀河鉄道999』『宇宙戦艦ヤマト』の松本零士氏、『機動戦士ガンダム』の総監督である富野由悠季氏などが登壇しました。3つ目はバレエのイベントを開催したことです。『ドラゴンクエスト』の話をベースにしたクラシックバレエの公演を行いました。
Q 5月に東京で開催された概要発表会では、プロモーションや市場調査での活用が進んでいるとおっしゃっていました。具体的にどう使われていますか?
A たくさんの来場者(19年は25万人)がいるので、日本企業が自分たちの商品、サービスなどを展示すれば、フランス市場での反応がわかる。それをもとに戦略を考えることができます。日本企業にとっては、自社の商品やサービスを売るための欧州市場調査ができるのです。ブランドや商品・サービスの存在を欧州に知らせるには絶好の場だと思います。
Q 日本のコンテンツの海外(現地)展開という側面でみると、マンガ・アニメ以外のコンテンツビジネスを欧州で展開するのは難しいようにも思えます。
A そうは思いません。ガストロノミー(料理)はとても成功しています。おむすび権米衛、味の素、そしてラーメンなどは大人気です。ですので、できることはたくさんあると思います。これまで多数のアイドルがゲストとして出ていますが、フランスでのビジネスとなると難しい側面があります。それは、日本でメジャーなアイドルが来るケースがまだ少ないこともあるのでは。フランス人にインパクトを与えていないのはそのためでしょう。たくさんのグループがそれぞれの戦略をもってJEにやって来ています。けれどそれは、欧州でビジネスを発展させていこうというのではなく、日本で売り込むための通過地点として、利用しているケースが多いのも事実です。
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