フランス・パリ近郊に日本好きが25万人も集まる日本文化の博覧会「Japan Expo」(JE)。仏SEFA EVENT(JTS GROUP)が主催し、2019年7月4~7日に20回目を開催した。この連載では、JEを拠点とした日本企業の海外プロモーションを追う。目立ったのは2020年のインバウンド誘致を狙った自治体PR。成果を上げる自治体を取材すると3つのポイントが見えた。
アンバサダーを発表します!――フランスで開催されたJEの会場で行われたのは、最終選考に残った6人から3人を選ぶ発表会イベントだ。ご当地キャラの「しんじょう君」が合格者の肩に高知県須崎市名物の鍋焼きラーメンがモチーフとなった帽子をかぶせる。1人選ばれるたびに会場は大きな拍手に包まれ、合格者は踊るように飛び跳ねて喜びを表現した。
選ばれた3人は、2020年3月に、須崎市が無料で同市を巡るツアーに招待する。現地の鋳造メーカーで刃物を研いだり、シーカヤックを体験したりできる。須崎市の魅力を体験して、SNSなどで発信してもらうのが狙いだ。
「応募者は約300人、JEのホームページなどで受け付けた」と語るのは、JEでアンバサダーを募集した高知県須崎市元気創造課地域おこし協力隊の佐藤智裕氏。日本を紹介するチャンネルを持つユーチューブチャンネル「ICHIBAN JAPAN(一番ジャパン)」に広告を依頼するなどして募集した。
19年7月5日(現地時間)の午前、須崎市のブースには、応募したフランス人が面接に訪れる。18年から須崎市で働くようになったというフランス人女性の市職員が通訳となって、須崎に行きたい理由などを聞く。今年は計100人前後を面接し、eスポーツ関連でのプロモーションを狙ってゲームプログラマーの男性、異文化交流を促進したいと応募した学校の先生、有名ブロガーの女性の3人をアンバサダーに選んだ。
人口2万2000人の須崎市が、2020年の東京五輪も視野に、外国人観光客の誘致活動をスタートさせたのは2016年。欧米へのPRの場として日本好きが多く集うJEが最適と判断して続けた4回目の出展。16年にしんじょう君がゆるキャラグランプリを獲得したことも弾みとなり、これまでに台湾、タイ、英国、アラブ首長国連邦などで開催された展示会にも出展している。
「須崎市は日本人ですらその名を知らない人が多い。外国人がいることが珍しい町にフランス人が目立つようになったんですよ」――関係者は驚きを隠さない。インバウンドを狙ったプロモーションは経済効果を図るのがなかなか難しい。ただ「明らかにJEで須崎を知ったと思うようなフランス人が年50人ほど訪れるようになった」(佐藤氏)。19年の須崎市ブースには、以前アンバサダーとして須崎市を訪れた現地の人も手伝いに来てくれた。4年続けたJEへの出展、アンバサダーを使った観光客誘致は成果を上げ始めている。
足袋のファッションショーで注目集める行田市
足袋(たび)のファッションショーでJEのステージを彩ったのは、埼玉県行田市だ。ドラマ『陸王』のロケ地でも話題となった足袋の町。欧州へのPRの場として活用しているのがJEだ。コンテストでは最終選考に残った10人がそれぞれのコーディネートで足袋を履いてステージを歩いた。行田市役所の職員や同市の足袋メーカーの代表などが審査員となり、上位3人の入賞者を決めた。
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