各界の専門家に「ビジネス」と「人生」に効く本やマンガを厳選してもらう本特集。今回は「読書の早慶戦」と題し、早慶両大学生協の書店員に野球の打順になぞらえて9ジャンルを提示し、学生だけでなく、ビジネスパーソンにもお薦めの本を紹介してもらった。早稲田大学の選書は「フレッシュ」と「自校愛」がキーワード。

「読書で夏の早慶戦」先攻は早稲田大学(写真/Shutterstock)
「読書で夏の早慶戦」先攻は早稲田大学(写真/Shutterstock)

 編集部で提示した選書の9ジャンルは順に「英語」「新書」「マーケティング」「ビジネス」「テクノロジー」「自己啓発」「資格」「マンガ」「趣味」。近年欠かせなくなってきた英語から始まり、教養を新書で補い、本媒体の主軸でもあるマーケティング、ビジネスへとつなぐ。技術の進歩を押さえるためテクノロジーを紹介し、知識を得たところで自分を見つめ直す自己啓発。下位打線では、ビジネスに役立つ資格を押さえ、マンガと趣味で息抜きを行う。そういったコンセプトでこの9ジャンルをお願いした。

 「早慶戦」をモチーフに、野球の打順になぞらえて順に解説していく。売れ筋も違う両大学の選書は、個性が光るものであった。同ジャンル同士で見比べながら、楽しんで見てほしい。

 早稲田大学生活協同組合 コーププラザ ブックセンター 店長の辻谷寛太郎氏の選書のコンセプトは、「フレッシュ」。辻谷氏も、ともに選書に加わった同ブックセンターの鈴木祥介氏も着任してまだ1年ということで自らに重ねたのだろうか。「(慶応に)胸を借りる気持ちで選書した」(辻谷氏)。選書後、相手大学にラインアップを見てもらい称賛に値する場合は、それぞれについてコメントしてもらった。

 早速、先攻早稲田大学のラインアップを見ていこう。なお、取材日が早かった早稲田を先攻とした。

1番:英語

『英語で意見を論理的に述べる技術とトレーニング』
植田一三、妻鳥千鶴子/ベレ出版
1900円(価格は全て税別、以下同)

 日本人の苦手な議論する力を根本的に鍛え、表面的な英会話では学べなかった論理的分析能力・表現力をアップさせる一冊。重要な社会問題について英語でディスカッションやディベートが楽しめるように構成されている。

読書で夏の早慶戦 先攻・早稲田は自校愛あふれる新刊猛プッシュ(画像)
早稲田大学生活協同組合 コーププラザ ブックセンター
店長 辻谷寛太郎氏
これからは日常会話ができるレベルの英語スキルだけではなく、もっと深い話(ディベートなど)ができるようなスキルが求められている。

『慶応にも言わせて!』

読書で夏の早慶戦 先攻・早稲田は自校愛あふれる新刊猛プッシュ(画像)
慶応義塾大学生活協同組合 三田書籍部
店長 山川夏代氏
慶応大学でも人気の本。論理的や技術的に考える英語の本は売れている。

2番:新書

『大隈重信』
伊藤之雄/中央公論新社
(上)1100円、(下)1000円

 早稲田大学初代総長としても知られる大隈重信。上下巻の2冊で2019年7月22日発刊。上巻では、近代日本の政党政治に深く関わった大隈の、念願だった組閣までを描く。下巻では、政治的に不遇な時代を迎えても活動を続け、再度の総理就任も果たした彼の後半生と晩年を浮き彫りにし、近代日本の「巨人」の全体像を見せる。

読書で夏の早慶戦 先攻・早稲田は自校愛あふれる新刊猛プッシュ(画像)
辻谷寛太郎氏
早稲田大学初代総長の半生を描いた新刊。教育者としての姿だけでなく、政治家としての面も盛りだくさん。

3番:マーケティング

『仮説思考』
内田和成/東洋経済新報社
1600円

 仕事の速さ・出来栄えを決めるのは何か。それは「分析力ではなく、仮説である」と著者は説く。ボストン・コンサルティング・グループでの20年の経験から、コンサルタントの必須能力である「仮説思考」を解説。姉妹本に「論点思考」「右脳思考」がある。

読書で夏の早慶戦 先攻・早稲田は自校愛あふれる新刊猛プッシュ(画像)
読書で夏の早慶戦 先攻・早稲田は自校愛あふれる新刊猛プッシュ(画像)
早稲田大学生活協同組合 コーププラザ ブックセンター
鈴木祥介氏
解説本「マンガでわかる!仮説思考」(宝島社)が出るほど、人気のロングセラー本。“思考シリーズ”3部作ともお薦めしたい。著者は早稲田大学商学部学術院教授で、同大学のビジネススクールで講師も務めている。

 意外にも(?)お堅く入った早稲田。1番(英語)から確実に点を取る意志が感じられる。両大学監督(店長)とも「TOEICやTOEFLなど英語での資格取得は、当たり前になっている」と話し、紹介を控えた。

 2番(新書)で送り出した大隈重信は言わずと知れた早稲田大学の初代総長、ここでも手堅く“送りバント”を決めた。続く3番(マーケティング)の著者、内田和成氏も早稲田大学ビジネススクールの教授だ。

 早々に選書のコンセプトには無いが、早稲田愛あふれる“忖度(そんたく)”が感じられる。4番(ビジネス)以降も“忖度”が続くのだろうか。また、ここまでで選書のコンセプトである「フレッシュさ」は感じられない。フレッシュな面々の起用の仕方も楽しみだ。

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