「ビジネスと人生に効く」をテーマに、この夏、どんな本を読めばいいのか。時間のないビジネスパーソンに効率よく旬の書籍を見つけられるとあって、注目が高まっているのが要約サービスだ。そこで会員登録数約40万人を誇る「flier(フライヤー)」に、2019年上半期のトレンドを聞いた。

マーケターには時流を読み解くための知識と感性が欠かせない。それを同時に養えるのが休暇中の読書だ。本コラムを第1弾として、8月13日~16日までの間に、「すご腕マーケターに聞いた 読まないと損する本&マンガ」前編・後編(14日公開)、有力経営者が選んだ「読むべきマンガ3選」(16日公開)など本選びに役立つ7本の記事を順次掲載する。

 いくつかある要約サービスのなかでも、広く名前を知られているのがフライヤー(東京・千代田)だろう。「1冊10分で読める」をうたい文句に、文芸書からビジネス書まであらゆるジャンルの書籍を要約して提供している。会員登録数は約40万人で、メインユーザーは30~40代のビジネスパーソンだ。

 書籍の要約は一体どんな目的で読まれるのか。フライヤープロモーションマネージャーの井手琢人氏は、「ビジネス本は情報や知識を得るために読む人が多い。時間がないなかで、気になる本は事前に要約を読んで、内容を把握してから買いたいというニーズは高い」と話す。

フライヤープロモーションマネージャーの井手琢人氏
フライヤープロモーションマネージャーの井手琢人氏

 フライヤーによると、1年間に発売されるビジネス書はおよそ6000冊。全て要約して掲載するわけではないので、リリース情報や直近のトレンドを基に閲覧されそうな本を事前にセレクトする必要があるという。ビジネス書のトレンドに精通する井手氏に、2019年上半期に発売されたビジネス書の3つの大きな特徴を解説してもらった。

【トレンド1】「アウトプット」関連本が躍進

 下の表は、フライヤーの上半期閲覧数の上位10冊だ。

■「フライヤー」ユーザー閲覧数 上半期(2018.12.1~2019.5.31)
人気ランキングTOP10(価格は全て税別)

1位 「学びを結果に変えるアウトプット大全」
樺沢紫苑(サンクチュアリ出版、1450円)
2位 「メモの魔力 The Magic of Memos」
前田裕二(幻冬舎、1330円)
3位 「FACTFULNESS(ファクトフルネス)
10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」

ハンス・ロスリング、オーラ・ロスリング、アンナ・ロスリング・ロンランド(日経BP、1800円)
4位 「神メンタル 『心が強い人』の人生は思い通り」
星渉(KADOKAWA、1400円)
5位 「やってはいけない7つの『悪い』習慣
成功をひそかに妨げる『人生の落とし穴』」

デビッド・M・R・コヴィー、スティーブン・M・マーディクス(日本実業出版社、1600円)
6位 「すべての知識を『20字』でまとめる 紙1枚!独学法」
浅田すぐる(SBクリエイティブ、1400円)
7位 「一番伝わる説明の順番」
田中耕比古(フォレスト出版、1400円)
8位 「なぜかうまくいく人のすごい無意識」
梯谷幸司(フォレスト出版、1500円)
9位 「人生は攻略できる」
橘玲(ポプラ社、1500円)
10位 「直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN」
佐宗邦威(ダイヤモンド社、1600円)

*有料会員を対象に、2018年12月1日~2019年5月31日までにスマートフォンアプリおよびウェブサイトでの閲覧数を集計。価格は編集部が独自に調査し、追加したもの

 1~3位はAmazon.co.jpの「ビジネス・経済」ジャンル書籍の売れ筋ランキングでも常連だ。だが、「1、2、6、7位は全て『アウトプット』に関連している」と井手氏。

 「18年3月に発売されてベストセラーになった『1分で話せ』以降、アウトプット関連書籍が増えている。パンパンになった知識や情報を具体的にどう生かしたらいいかと考える人が多いようだ」(井手氏)。

 1位の『学びを結果に変えるアウトプット大全(以下、アウトプット大全)』は、見開き1ページごとに簡潔な見出しを付け、図解を交えて解説する事典のような作りが特徴。「インプットとアウトプットの黄金比は3対7」と、要約しやすい内容も読者の心をつかんだ。

 「(これまでの自己啓発本のように)マインドを変えるというより、ビジネスに役立つ具体的なテクニックを学びたいという人が増えたのではないか」と井手氏は考える。

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