新しい市場として注目されるスモールマス。花王は、気分で服を選ぶように、6種類の香りを組み合わせるヘアケアブランドを投入し、同市場の攻略を急ぐ。従来の消費行動とは異なるユーザーにどのように対応するのか。商品開発とマーケティングの舞台裏に迫った。
花王が今後のマーケティング戦略の中心に据えているスモールマス。マスに比べて市場規模が小さいものの、価値を認めれば比較的高額の商品でも購入する、こだわりの消費者がつくる市場のことだ。
ヘアケア分野では、近年スモールマス化が急速に進行している。その変化を象徴するのが、I-ne(アイエヌイー、大阪市)のヘアケアブランド「BOTANIST」だ。植物由来の原料を配合したシャンプーが人気で、価格は1512円(税込み)と高額ながら2015年の発売からシリーズ累計5000万本を販売。後発ながらヘアケア市場のシェアで第3位へと躍進した。BOTANISTに代表されるスモールマス向け商品は、中身やパッケージデザインで、大手メーカーとの違いを打ち出し、多くの女性の支持を得ている。価格は、1500~2000円程度で数百円のマス向けシャンプーよりも高額。それでも、シェアが拡大していることから、大手メーカーは、マーケティング戦略の見直しを迫られている。
花王は、ヘアケア分野ではこうした傾向が今後強まると見て、従来と違ったコンセプトの商品を投入し始めた。その1つが、19年5月18日に発売したヘアケアブランド「and and(アンドアンド)」だ。同ブランドは、シャンプー3種類とトリートメント3種類で構成され、それぞれ香りとパッケージデザインが異なっているのが特徴。これによって、服を選ぶように、気分に合わせて香りの組み合わせを選ぶというシャンプーとトリートメントの新しい使い方を提案する。想定価格は1400円(税抜)で、20~30代の女性を主なユーザーに設定している。
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