花王の化粧品事業が好調だ。2019年1~6月期の売上高は※前年同期比で10.3%増となる1400億円となった。アジアが同29.4%増と大きく伸長した一方、日本も同7.8%増と健闘している。花王は同社初のネット専用商品「ブラックプリマ」を開発するなど、化粧品分野のECの強化を進めている。
花王がECに本格的に取り組み始めたのは、「この2~3年のこと」(コンシューマープロダクツ事業部門事業戦略推進部EC事業開発部シニアMK推進担当の生井秀一氏)。他社に比べて出遅れていると花王自身も認める。18年度の化粧品事業の売上高に占めるEC比率は6%で、25年度に15%まで高めることを目指している。一方、自社ECに力を入れる資生堂は17年度時点でEC化率が8%に達しており、20年には15%まで高めることを目指す。花王は競合に比べて低い水準となっている。
それは第三者のデータ上でも、明らかだ。独自でAmazon.co.jpのデータを収集するNint(東京・新宿)によれば、18年度の「スキンケア・基礎化粧品」カテゴリーの商品別売り上げランキングでは、プレミアアンチエイジングやドクターシーラボといった、ネットを中心に顧客を開拓したEC強者が上位を独占。花王製品は7位(キュレル 潤浸保湿フェイスクリーム 40g)にとどまっている。
化粧品は元々DHCやファンケルのように通販主体のブランドも多い。昨今ではゆうこす(菅本裕子)が手掛ける「youange(ユアンジュ)」ように、インフルエンサーがOEM(相手先ブランドによる生産)を専門とする企業と共同開発することで、自らブランドを立ち上げるケースも増えており、参入障壁が下がっている。そういった企業はネットを主体にブランディングや販売をするため、デジタルネイティブなブランドになる。一方で資生堂が数年前から自社ECを強化するなど、大手企業の間でもEC推進が活発化している。こうした中、ようやくECに本腰を入れ始めた花王。25年にはEC化率を15%まで高めることを目標に掲げる。その実現可能性はどれほどか。具体的に検証してみよう。
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