日経クロストレンドが独自に算出した「自治体マーケティング力ランキング」特集の第4回は、「観光以上・定住未満」とも言われる「関係人口」に焦点を当てる。自治体SNSや移住支援コミュニティーの活性度から関心の高さをスコア化した結果、町の面積の9割を森林が占める極寒の町がトップに立った。
「日経クロストレンド」で2019年上半期によく読まれた記事の一つが、「月4万円で多拠点住み放題に1100人超が応募 空き家問題に挑む」だった。サブスクリプション特集の一事例だが、この定額制多拠点コリビングサービス「ADDress」が寄与するのが、関係人口の増加である。
関係人口とは、定住人口でも旅行で訪れる観光人口でもなく、地域や地域の人々と継続的に関わる人たちのこと。過去に居住や勤務していた縁があってたびたび戻る機会がある人や、観光で訪れてその地が気に入り、定期的に来訪する観光リピーターなどが該当することから、「観光以上・定住未満」とも表現される。日本は既に人口減少局面に入り、観光人口はどうしても観光資源に左右されることから、関係人口づくりに活路を見出す機運が近年高まっている。地方の空き家や遊休別荘を拠点として利用できるADDressは、週末を気に入った地域で暮らす生活を促進し、地域コミュニティーとの交流が期待できるため、その地にとって関係人口の創出につながるわけだ。
自治体マーケティング力ランキング特集ではこの関係人口に着目し、定住人口、観光人口と合わせて3つの観点から算出を試みたのだが、関係人口については「A市の関係人口は263人」といった公的なデータは存在しない。
そこで関係人口は、移住支援サービス「SMOUT」を運営するカヤックLiving(鎌倉市)に委託し、同社が独自算出する「ネット関係人口スコア」のデータ提供を受けた。自治体の公式SNSのフォロワー数やSMOUT上でのコミュニケーション数などの活性度合いが、自治体の定住人口に比して高ければ、その自治体への関心者が多いと見なしてハイスコアがつく仕組みだ。
なお、ADDressを運営するアドレス(東京・千代田)とカヤックLivingの両社は19年8月19日に業務提携を発表している。
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