「日経クロストレンド」は、人口減少社会の中でも人口増や活性化に成功している自治体を評価するべく、定住人口、観光人口、関係人口の“3つの人口”に着目し、全国1741市区町村の「自治体マーケティング力ランキング」を算出した。マーケティング課を設置する自治体も現れ、住民を呼び込む仕組みづくりに努めている。

1位はリゾートで有名な村(写真/Shutterstock.com)
1位はリゾートで有名な村(写真/Shutterstock.com)

 「街のランキング」と聞くと、どんな市区町村あるいは都道府県名が思い浮かぶだろうか? 吉祥寺、横浜、恵比寿といった地名が毎年上位に並ぶSUUMOの「住みたい街ランキング」(リクルート住まいカンパニー)、6年連続で茨城県が最下位、10年連続で北海道が首位を独走する「地域ブランド調査」(ブランド総合研究所)などの結果を想起する人も多いだろう。

 ではそうした街ランキングで上位の自治体は、実際に人口増加エリアなのかといえば、必ずしもそうではない。人口370万人を超える国内最大の市である横浜市でも、出生数から死亡数を引いた自然増減が2016年から自然減に転じ、市の人口のピークを19年と推計している。横浜市がカジノを含む統合型リゾート(IR)を誘致する方針を固めたのも、高齢化と来るべき人口減で財政事情が厳しくなることが背景にある。

 そんな人口減少社会に突入して久しい国内において、今どき人口が増えているのはどこの自治体なのか? 売れない時代に売り上げを伸ばす企業をマーケティング力があると評するのと同様、人口が増えない時代に増やしている自治体をマーケティング力のある自治体としてランキングを算出し、分析を試みるのが本特集の趣旨だ。

“3つの人口”から自治体マーケティング力をスコア化
“3つの人口”から自治体マーケティング力をスコア化

 調査対象の自治体数は、全国1741市区町村に上る。自治体マーケティング力をランキングするに当たり、“3つの人口”に着目した。1つ目は定住人口。住民基本台帳に基づく19年1月の人口が16年1月と比べてどれだけ増えたかあるいは減ったか。3年前比の増減率を出した。

 2つ目は観光人口。観光庁が09年に策定した「観光入込客統計に関する共通基準」に基づいて各都道府県の観光課がまとめた観光統計(14~17年)から市町村別の観光入り込み客数を抽出し、その増加率を算出した。

 3つ目は近年注目ワードになっている関係人口。転居を伴う定住人口と、旅行者である観光人口の間に位置する概念で、その地域や地域の人々と多様に関わる人を指す。もともとその地域の出身者や勤務者で現在は他地域に住んでいるものの度々訪れる人や、地域の活動に定期的に参加する観光リピーターなどが該当する。定住人口の増減はつまるところ人口減少社会での人口の奪い合いであり、また観光は力を入れようにも観光資源に乏しい自治体では難しい。そこで、地域のファンを増やし、地域の活性化や移住の予備軍づくりにつながる関係人口が、地方創生の文脈で語られるようになった。

 ただし関係人口は実数で示すことが難しい。また、ふるさと納税は過度な返礼品で寄付を集めるケースが問題視され、Amazonギフト券プレゼントを呼び水に18年度ふるさと納税総額5127億円の約10分の1に当たる498億円を集めた泉佐野市(大阪府)など4市町が、19年6月の新制度からは除外されている。

 そこで関係人口については、移住支援サービス「SMOUT」を運営するカヤックLiving(鎌倉市)に委託し、同社が独自算出する「ネット関係人口スコア」のデータ提供を受けた。自治体の公式SNSのフォロワー数やSMOUT上でのコミュニケーション数などの活性具合と、自治体の人口とのバランスから算出している。定住人口に比して、SNSフォロワー数や自治体名の投稿数が多い自治体は、その自治体への関心者が多いと見なしてスコアが高くつく。

 今回の自治体マーケティング力ランキングでは、この3つの人口をスコア化し、定住人口増加率50%、観光人口増加率10%、ネット関係人口スコア40%の配分で合算し、総合スコアを算出した。

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